どんな危険があるの?スマホをわざと盗ませて追跡した、スリリングなドキュメンタリー
もしも、スマホを盗まれてしまったら?画像や個人情報を見られてしまうなど、様々なリスクが予想されます。
オランダに住む映画学校の学生、Anthonyさんも過去にスマホを盗まれた経験を持つひとり。それから数年がたった今でも彼が気にしていたのは、盗まれたスマホのその後の行方でした。そこで彼は、スパイアプリ「Cerberus」をインストールして追跡可能にしたスマホを、わざと盗ませて追跡してみる、という実験を思いついたのです。
そのドキュメンタリーは、すでにYouTube上で550万回も再生されています。
「すべてを覗き見ることができ、
その恐怖を改めて感じた」
実際、スマホがオンラインにある限り、たとえ盗まれたとしてもAnthonyさんのパソコンから遠隔で写真や動画の撮影、録音、位置情報の取得が可能だったそう。それだけではなく、テキストや写真、動画にいたるまで、そのすべてを覗き見ることも。
さて、盗まれたスマホは一体どうなってしまったのでしょう?
犯人の顔も家も
移動の履歴も、すべて判明
アムステルダムの地下鉄で“盗まれた”この「囮スマートフォン」は、しばらくアムステルダム市内に留まっていました。犯人の鮮明な顔も、遠隔で写真を撮影し、判明。
その後、犯人がしばらくスマホを使い続け、いろいろな人と連絡を取っている様子をAnthonyさんはモニタリング。女性とのデートの様子の録音や、その位置情報から自宅も突き止めることができてしまったのです。
しかしある日、突然スマホがオフラインになります。そこで意を決して間違い電話を装い電話をかけてみたところ、ちゃんと通じました。どうやら、まだ犯人が持っていることは確かなようです。
そしてついに、本人のところへ
いてもたってもいられなくなったAnthonyさんは、位置情報の履歴から、犯人が現在いる可能性の高い場所に実際に赴きます。そして…犯人を発見したのです。
しかし当然、犯人はすれ違っただけの学生がまさかスマホを追跡しているとは知る由もありません。Anthonyさんは素早く写真だけ撮り、その場をあとにしました。それからはもうスマホがオンラインになることはなく、追跡はそこで中断。
「盗難の恐怖だけじゃなく
ハッキングの恐怖も伝わるはず」
この実験的な体験を、Anthonyさんはドキュメンタリー映像としてまとめました。制作をしながら、彼はどんなことを考えていたのでしょうか?
「この映像は、僕と犯人の関係性について描いているんだ。分かったことは、どれだけデータを集めても、その人がどんな人なのかはわからない、ということ。僕は追跡して集めたデータを見ながら、なんだか彼のことがかわいそうになってきたんだ。きっと、お金がなくて孤独な悲しい男なのだろう…ってね。
でも本物の彼を見た瞬間、そんな気持ちはすべて吹っ飛んだ。僕の思い描いていたイメージとはまったく違って、正直ショックだったよ。体格がよくて、ドラッグをやっていそうなヤバい匂いがして、僕のほうを訝しみながら攻撃的な態度で近づいてきた。僕は、2週間に渡って毎日彼のことを見ていたんだ。だから知ったつもりになっていたけど、それはすべて僕の幻想だったんだ。
この映像を見て、盗難についてはもちろんだけど、スマホがハッキングされるリスクについてもちゃんと知って欲しい。パソコンを使うときはウィルスやセキュリティに多少なりとも気を遣うけれど、スマホは無防備ということも多い。
今回の映像は端末ごと盗ませているから、普通はここまでハッキングできないだろうけど、それでもみんなには気をつけて欲しいと思う。その恐ろしさが十分伝わる内容になったんじゃないかな、と思うよ」
スマホを盗まれる恐怖、個人情報が漏れる恐怖、ハッキングの恐怖、そして遠くからデータを見ているだけではわからないリアルの恐怖。
結果的に、社会に潜むさまざまな恐怖を映し出すことになった約20分のドキュメンタリー映像。あなたは、なにを感じますか?