「今のうちに」とよく聞く、キューバへいざ。
ラムと葉巻と音楽という、漠然としたイメージしかなかったキューバという国。
アメリカとの国交回復ということもあり、「今のうちにキューバに行っておいたほうがいい」という話をよく聞くようになり、旅行を決めた。
車、建物、海、看板、人
どれも刺激的だ
東京から、メキシコシティを乗り継いで、キューバに入った。
今の時代、インターネットはあたりまえのように繋がり生活の必需ツールだが、キューバでは使える場所を制限されているあたりからも「異国感」を感じ、それがかえって心地よかった。
写真を撮るというのは、旅最大の楽しみで気合いを入れて行ったが、お世辞ではなくどこもかしこも絵になった。車、建物、海、看板、人、どれも刺激的で、とにかくかっこよかった。
なにも事前情報を持たずに行った旅だったので、とりあえずメジャーな観光地、ハバナ旧市街に向かい歩いていた。その土地を知るにはまず歩いてみるのが一番いい方法だと思い、北にカリブ海を眺めながら旧市街に向かって歩いていると、カラフルなクラシックカーがビュンビュン走り抜け、まるでディズニーランドのようなリゾートにいる感覚があった。
ハバナの街の
人たちのリアル
しかし、海とは反対の南側には、打って変わってハバナの人たちの生活感が漂っていた。海岸線も気持ちのいい道だったが、あえて生活感のあるほうへ歩いてみたくなり、路地へと入っていった。
灼熱の太陽が照りつける中、どこともなくラテンの音楽が鳴り、そこに住んでいるであろう人たちが立ち話をしていたり、子どもたちが道でサッカーをしていたり、まさにハバナの人々のリアルな生活がそこにはあった。
アジア人がそんなに多くないからか、そのエリアにはあんまり観光客が入らないからか、カメラを持って歩く僕は強い視線を感じた。ある種、恐怖感のようなものだった。
「写真を撮ってもいいか?」
引き返そうと思ったとき、褪せた緑の壁の前に立つおばさんがいた。じっとこっちを見ている。
あまりに絵になる光景だったので、「写真を撮っていいか?」というジェスチャーをした。意味を理解してくれたのかどうかはわからないが、拒否する様子はなかったので恐る恐るシャッターを4枚切った。おばさんは、その間ずっとこちらを見つめたままだった。
あとで写真を見直してみると、おばさんはうっすらと笑みを浮かべているように見えた。それを見て、僕はホッと安心した。
さっきまで感じていた恐怖感はきっと自分の思い上がりで、思い返せばどの思い出の中でも、キューバの人々は笑顔で明るく、オープンでキラキラしていた。僕はキューバの魅力を五感で感じ、すっかり虜になっていた。
キューバは、唯一と言ってもいい社会主義における成功を築きあげた国、という認識があった。その土台を作った偉大な革命家、フィデル・カストロは悲しいことに昨年の11月に死去。そして、アメリカとは54年ぶりの国交回復をした。
これからも、国として変わっていくことはあるかもしれない。でも、僕が旅で出会ったキューバの街や人々のことを思うと、キューバはきっと、これからもキューバであってくれるだろうと信じている。
「Into the CUBA 〜seki&yagi trip art session〜」
・期間:2月18日 12:00〜2月26日 19:00
・場所:Gallery201(東京都品川区北品川6-2-10 島津山ペアシティ201)Photografherの関竜太と、画家の八木亮太郎によるキューバ展はコチラから。