私が財布に「寅さん」のカードを入れている理由。
きっかけは祖父でした。
「『男はつらいよ』を観ていれば、いい子に育つ」という、なんともおもしろい考え方をする人で、実際に私は幼い頃から祖父母の家に行くと、男はつらいよシリーズを観て過ごしていました。
さて、大人になった私は祖父の説は正しいと信じています。
寅さんの映画を一度でも観たことがある人は、なんとなく納得できると思うんですが、あのシリーズには、人生に役立つメッセージがたくさん詰まっていました。
少なくとも、自分は家族の大切さとか、努力することの重要性とか、そういうことを知っている大人にはなれたかな〜と思っています。そしてそれは寅さんを観て育ったおかげだな〜とも思うのです。
だけど、忙しい日常では、寅さんが教えてくれたはずの大事なことを忘れそうになることもあります。
だから、私は財布の中にこの寅さんのカードを入れています。わざわざ取り出して見返さなくても、毎日スーパーマーケットのレジで会員カードを見せる際に、寅さん言葉が目に飛び込んできます。
やっぱり、
真面目にね、
こつ こつ こつ こつ
やっていきゃ、
いつか、
芽が出るんだから。
いい言葉ですよね。
このカードは、DVDボックスセットのオマケ。とくに貴重とか、そういうんじゃないし、必要以上に丁寧に扱うのもなんか違うと思っているので、ボロボロですが、とっても大切なものです。
Nao Nozawa/アートディレクター、「Walls Tokyo」キュレーター
現代アートのセレクトショップ「Walls Tokyo」では、ネームバリューにとらわれないキュレーションを行っています。
Photo by 元家健吾
今、僕らがリアルに使っているもの、使えるもの。『ビー』の記事は、毎日1本公開中です。