ポケットの中にさり気なく忍ばせている、真鍮の枝豆とキーホルダー。
僕は、基本的に手ぶらが好きなんです。大きなカバンを持ち歩くことも多いですが、手荷物は、ポケットの中におさまるくらいでちょうどいい。いつでも身軽でいたいんです。そんな必要最低限の持ち物のなかでも、とくに大切にしているのが、枝豆とキーホルダーです。
枝豆は、墨田区の鋳造品メーカーである〈東日本金属〉さんからいただきました。こんな小さなものがポケットから出てきたら、おもちゃのように見えますが、真鍮の箸置きです。手のひらに乗せてみると、しっかりと重みがあります。
以前、工場見学をさせていただいたのですが、金属を溶かして液状化したものを、砂で作った型に流し込んで成形するんです。300年前から続いている昔ながらの手法だそうで、仕上がりに温もりを感じます。仕事中にポケットの中で触っていると、心なしか気持ちが落ち着くんです。
キーホルダーは、随分昔に、スイスのデザインショップで購入しました。「I LIKE SOTTSASS」と書いてありますが、僕の大好きなデザイナーの名前です。何気なく目に入る鮮やかな黄色と、ストレートなメッセージからいつも元気をもらっています。
このふたつは、僕の手元にいちばん近いお守りのような存在です。
DAVID GLAETTLI/クリエイティブディレクター
Glaettli Design Direction Ltd.代表。スイス・チューリッヒ出身、2008年より日本在住。家具ブランド「KARIMOKU NEW STANDARD」クリエイティブディレクター、有田焼のプロジェクト「2016/Arita」デザインディレクターを務める。http://www.davidglaettli.jp/gdd/
Photo by 元家健吾
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