拒食症の問題は「体重」だけじゃない。イラストに見る患者のリアル。
何らかの精神的理由から、食事をとれなくなってしまう「拒食症」。「Me and My ED(私と私の拒食症)」は、そんな病に苦しむ患者たちの“心の声”をイラストにした取り組みです。
以下は全て実際の闘病者の経験をもとに描かれたもの。病気に支配され、自分の行動が思うようにコントロールできない恐怖が生々しく刻まれています。
まるで呪い
逃れられない苦しさを表現
「ちょっと、ちょっと!あんた、自分がどれだけ太ってるか分かってんの?ねぇ、分かってんの?」。
まるで、首を絞められているみたい。
「二度と食べるな」「お前には価値がない」「だから誰もお前を愛してくれないんだ」「死んでしまえ」「胸糞悪い豚め」。
「食べる」だけ。でもその恐怖は、本物。
歪んだ価値観に囚われる。
もっと痩せなきゃダメだ。終わりは決して無い。
拒食症に悩む男の人だっているんです。
体重に関係なく、拒食症は様々。
治療は「体重を増やすこと」だけじゃない。
「自然界では不合理な病」を
どう理解してもらうか
オフィシャルサイトでは、拒食症を人間の生まれつきの欲求である「食欲」に適わない、「自然の理に合わない病」と説明しています。だからこそ、絵と文字でわかりやすく伝える必要があるのだと。
また、拒食症は「体重が戻ればいい」わけではありません。この取り組みを始めたChristie Begnellさんも、自身の闘病経験をこう振り返ります。
「私は病院のスタッフからしても、ただの『イカれた』患者でしかなかった。理解できないから、接し方もわからない。私は道に迷ったようで、寂しくて、気が滅入って…。
拒食症が私の人生を支配してた。でも彼らは、私のことをそれほど重い病気じゃないと思ってたの」。
体の仕組みは皆同じですが、心は人それぞれ。だから「共感すること」は、思っているよりもはるかに難しい。彼らは見たところ別に「元気」そうだから、「大丈夫」なはずだと心のどこかで思い込んでしまうのです。そんな人たちが少しでも拒食症の真情を知り、そっと寄り添えるようにと、イラストは描かれ続けています。