「もっとも重要なことは、諦めないこと」。差別や偏見と戦う人たちへ、NASA女性職員からのメッセージ
ある組織内においての多様性を示す「ダイバーシティ」という言葉が世に浸透し始めたのは、ここ10年くらいだと思う。もちろん、そうした考え方自体はそれ以前にもあっただろう。少なくとも、NASAでは1960年代からアフリカ系アメリカ人女性が活躍していたらしい。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの演説「I Have a Dream」が1963年であることを考えると、彼らの取り組みは先駆的なものだと言えるかもしれない。
さて、ここで紹介したいのは、そんなNASAの公式HP内のコンテンツ「Modern Figures」。現在活躍中の女性エンジニアや女性宇宙飛行士にインタビューを実施し、これからの未来を作る人たちへ、偏見に打ち勝つためのアドバイスがまとめられている。
NASAの影のヒロインたち
そもそも、この「Modern Figures」の元になったのは、昨年末にアメリカで公開され、アカデミー賞にもノミネートされた作品『Hidden Figures』。NASAで「人間コンピューター」と呼ばれたアフリカ系アメリカ人女性たちの活躍を描いている。
HPによると、映画の内容はややドラマチックになっているものの、間違いなく当時から女性たちは活躍していたとのこと。多様性を受け入れることはNASAのミッションであったため、性別や人種、宗教などに関係なく様々なバックグラウンドを持った人たちが働いていたらしい。言うまでもなく、今でも完全な平等を目指している。
1960年代にNASAが月へ行くことを試みていた時には、アフリカ系アメリカ人女性たちが活躍し、それを成し遂げた。しかし、これからの未来には「Modern Figures」が必要になるとのこと。だからこそ彼らは、HPに女性エンジニアや女性宇宙飛行士から寄せられたアドバイスをまとめている。
ここでは実際に公開されている映像の中から、3人をピックアップして紹介しよう。
01.
宇宙飛行士
Jeanette Epps
「勉強しても分からないことや難しいことはたくさんあると思う。それに時間と努力をつぎ込まないといけないかもしれない。この先、つまずくことはあるかもしれないけれど、理解できないということではありません」
02.
計装技術者
Christina Diaz
「キャサリン・ジョンソン(人間コンピューターと呼ばれた人物の1人)の姿勢は1950~60年代の考え方を大きく変え、私の支えにもなりました。彼女たちが打ち勝った偏見に比べれば、私たちが乗り越えるべき障壁は低いはずです」
03.
航空宇宙工学エンジニア
Maria Caballero
「もっとも重要なことは諦めないこと。さらに、周りの偏見にも負けないこと。エンジニアになる勉強をしている時に女性を見ることが少ないからといって、あなたができないという意味ではないはずです」
もし、なんらかの偏見にさらされ、悩みを抱えている人がいたら、HPをチェックしてみてはどうだろうか。実際に苦難を乗り越えた彼女たちから、力強いエールがもらえるはすだ。