「アジア人にしては目が大きいね」。ふとした瞬間に言われた差別の言葉
海外旅行に行った先で「日本人?韓国人?中国人?」とたずねられたこと、一度はあるのではないでしょうか。「だから何?」という気持ちでモヤッとするし、中には不愉快な気持ちになる人もいるはず。
とくに「アジア系アメリカ人」は、生まれも育ちもアメリカにも関わらず、アジア系というだけで、言葉の節々に人種差別の匂いを感じることが日々あるそうです。
それを受けて、米・ボウディン大学ではアジア系の学生たちが啓発プロジェクトをスタート。ホワイトボードに書いているのは、日常のふとした瞬間に言われた言葉。
そこに悪意はないかもしれないし、もしかしたら褒め言葉のつもりかもしれない。でもアジア人に対してのステレオタイプな見方や偏見が垣間見えることも確かです。
ふと言われた言葉や
主張したいこと
「顔も知らないような人とお見合い結婚させられるんでしょ?」
「わあ、君って韓国人にしては英語がすごくうまいね」
私は今までずっと英語で授業を受けてきているんだけど…。
「アジア人の鼻って、なんであんな低いのかね。親にフライパンで殴られたのかな?」
「きっと、あなたの家族にはまともに英語が話せる人はいないでしょ」
(文学教師の言葉)
「私が数学が得意なのはアジア系だからじゃない。“私”が得意なだけ」
「中国人て、1人目の子どもがいたら、2番目の子は堕ろしちゃうんでしょ?」
「なんでアジア人ってみんな同じに見えるんだろう?」
「アジア人からしてみたら、あなたって綺麗なのかもね…」
「いやいや、“本当”はどこの出身なの?」
「アジア人にしては、目が大きいね」
「中国人と韓国人は、同じ“モノ”ではありません」
きっかけは
ハッシュタグ「#thisis2016」
このプロジェクトのきっかけは、今年10月のニューヨーク・タイムズ紙の編集者マイケル・ルオ氏のTwitterでのメッセージから。アジア系のルオさんは、ある日路上で見知らぬ女性から「中国へ帰れ」という言葉を投げつけられたのだそう。その出来事と女性に対するメッセージが、多くのアジア系の人々から共感を呼びました。ハッシュタグ「#thisis2016」は、社会的な誤解や意図しない差別である根深い人種へのレッテル貼りを啓発する活動として広がりました。
今回の学生によるプロジェクトも、その活動の一環として行われました。
Yes. I'm Asian.
アメリカで生まれ育った生粋の「アメリカ人」なのに、見た目だけでそれぞれのルーツを勝手にタグ付けされてしまうのは、彼らにとっては不快なことでしょう。
普段の何気ないひとことからも感じられる、誤解や偏見。私たち日本人も、外国人の見た目や出身地に対して、同様に偏見を持っていないか、と考えさせられます。