アメリカ反人種差別デモの起源。彼らは声を上げることなく無言で訴えた。
しばしば報道されるアメリカの人種差別問題。解決策を見出すことは簡単ではありませんが、デモを行うことで多くの人に不公平さを訴えることはできます。
2017年は、60年代の公民権運動や今日のBlack Lives Matterの原型ともいえる、最初の反人種差別デモから、ちょうど100年目に当たるそう。そこで、ライターEmily Beckerは、この運動にまつわる5つの大切なことを教えてくれます。
当時の彼らは、声をあげることなく無言で歩くことで、人種差別に異議を唱えたそう。
01.
撲殺された仲間たちのために
多くの人が立ち上がる
The Silent Protest Paradeは人種差別を訴える、アメリカでの最初のデモですが、その発端はイリノイ州イーストセントルイスで起きた事件にあります。
当時、街に暮らす白人の集団は、アフリカ系アメリカ人を見つけてはリンチをし、ひどいときには焼き殺すこともありました。記録には39人が被害にあったとありますが、歴史学者は少なくとも200人が殺害されたとみています。
この事実を知ったある男性が、ニューヨークのハーレム地区の黒人コミュニティーにデモを起こすことを提案し実現したようです。
02.
デモを目撃した人は
涙を流していた
最終的には約2万人が列を作り、道路を埋め尽くしました。また、ニューヨーク市警察は、暴動が起きた際にすぐに出動できる体制になっていたとのこと。
アクティビストJohnsonは、この日はたくさんの不思議な経験をしたと伝記に書き、さらに「1番驚いたのはデモを目の当たりにした人が涙を流していたこと」と綴っています。
03.
「お前たちの手には
血がこびりついている」
デモと言えば、メッセージ性の強いプラカード。彼らも同じことを100年前にやっています。
「お前たちの手には血がこびりついている」や「人種差別は盲目から始まり、リンチを正当化する」などが書かれたものを持ち歩いていたそう。
04.
「悲しみ」と「純粋さ」を
洋服で表現
パレードを先導した男性たちは黒い衣装、女性と子どもは白い衣装を着ていました。Miami Heraldによると、これらの色は「仲間に対する悲しみ」と「何もしていない純粋さ」を表していたそう。
05.
何も声を上げないことが
多くの人の心を動かした
デモに参加した人は声をあげることなく無言でした。この事実がかえって、社会に大きな影響を与えたのです。
アフリカ系アメリカ人の歴史を研究する教授のChad Williamsは、「このデモの強みは、何も声をあげないことで黒人に対するステレオタイプを覆したことだ」と言います。また、「彼らの行動は多くの人の心を動かし、黒人コミュニティーに対する肯定的な意見を生み出すことになった」と語ります。