タンザニアの「闇」と戦い続けるフォトグラファー
「タンザニアでは、アルビノ(※)の人たちは”悪”だと考えられています。中には、彼らを殺害すると幸運が訪れると信じる人まで。そのため、捕まえたら報奨金が支払われるという闇取引が存在するのも事実。
出産したばかりの女性は、子どもがアルビノであったら、命を絶つように言われます。拒否したら、子どもと母親は社会から隔離されるのです」
あまりにショッキングな内容を信じたくはないけれど、これらは同国で代々受け継がれてきた迷信であり、それを信じるがゆえ存在する現実だと、フォトグラファーMarinka Masséus氏。だからこそ、自身の写真を通して社会に一石を投じているのだと言います。
※先天性の遺伝子疾患。白い皮膚・体毛をしているのが特徴
明けても暮れても
屋内に引きこもらなければいけない
そもそも、非常に敏感な肌であるがゆえ、極力太陽光を避ける必要があるというアルビノの人たち。そうした理由があるとはいえ、タンザニアでは冒頭で述べた通り、誘拐や暴行のリスクがあるため、部屋にこもるしかないという現状があるようです。
彼らを保護するためのシェルターはあります。が、Marinka氏によると、基本的なインフラが整っていないこともあり、社会との交流を断ち切るため、ほぼ隔離状態で暮らさなければいけないのだとか。
澄み切った彼らの「美」は
社会の闇を浄化する
現状を知ったMarinka氏は、隔離するだけの政策は何の解決にもならないと考え、アルビノの子どもたちの一点の曇りもない美しさを捉えることにしました。
そこには、彼らへの理解をもっと深めてほしい、現状を知ってほしいという想いがあるはず。僕は彼らのことをもっと知りたくて、情報を調べました。
「Under The Same Sun」によると、アルビノの子は欧米では約1/20,000の確率で産まれるそう。タンザニアではより高まり、約1/1,400。
タンザニアでは彼らのことをZeru Zeruと呼ぶ人がいるようです。これは、現地の言葉で”幽霊”の意。
2006年から彼らに対する暴行が、28ヶ国で520件以上ありました。そのうち、タンザニアで起きているのは170件以上。
誘拐され、人身売買されることも。未だに迷信があるせいか、高額で取引されるそう。
アフリカで暮らすアルビノの人にはガンになってしまう人が多く、40年以上生きることができるのは、約2%だとか。
差別があることに気づいた世界中のアーティストが、不平等をなくすように訴えているそう。
未だに存在する闇を照らした氏の写真。多くのコンテストで高く評価されているようです。