人生に悩んだとき、「表題だけ」読んでください。
想像してみてください。
もしも、うまくいかないことがあったとき、落ち込んでいるとき、自暴自棄になっているとき、悲嘆にくれるとき、誰も信用できない気分のとき…通りがかりの本屋に立ち寄ったとします。
あなたが手に取りたいと思う本の表題には、どんな言葉が添えられているでしょう。不安定な心に穏やかさを取り戻し、人生のヒントがつかめるような、奮い立つメッセージがイメージできますか?
大切なのは、中身よりもその印象
#01
『アナタがとうに忘れた「夢」のすべて』
#02
『結局、最後はいかにオモシロいことができるか』
#03
『どこへ何の目的でいくかなんて、考えなくていい』
#04
『言い争いをすべてパフォーマンス・アートにしてしまう方法』
#05
『イヤなことでも目を背けない。けれど翌朝にはすべて忘れてしまおう』
#06
『自分を許すための目覚め方』
#07
『いかにして“鈍い少年”を演じるか』
#08
『“虚しさ”に立ち向かうための仕事術』
#09
『自分のことを気にかけてくれない人たち。第1集』
#10
『現実逃避のすべて』
#11
『一瞬で台無しにして、やり直す方法』
#12
『リラックスした状態で、毎晩自分にフシギな話をする方法』
#13
『いかにして、本来あるべき自分へとシフトするか』
#14
『バカのすすめ』
#15
『なぜ、他人の夢を叶えるための貴重な時間を費やすことが重要なのか』
#16
『I don't know ──真実を知らない人のための真実の物語』
#17
『どこにも行けない人のためのフィールドガイド』
#18
『他人の愛しかた、愛されかた』
#19
『キツツキのユウウツ』
#20
『人生の本質を知ってしまう前に、いかにして楽しむべきか』
#21
『何も得られないと分かっていても期待し続ける方法』
誰かの心に寄りそう
「セルフヘルプ」な表題
ここに紹介した本は、現実にはどれも存在しない架空のもの。なぜなら、50年近く前の本やノートの表紙に、タイトルだけを描いた作品だから。でも、たとえ内容がまったく別物でも、本のページがすべて白紙だったとしても、表題だけで誰かのキモチに寄り添うことができるのではないか…。
コペンハーゲン在住のカリグラフィーアーティストJohan Deckmannは、心理療法士(サイコセラピスト)としての顔も持つ異色の経歴をいかし、人生に対する大きな疑問、不条理、恐れを具現化するプロジェクトを続けています。
生きていく上でのさまざまなトラブルや、悩みを抱えた人が、専門家の助けを借りずとも、自分(あるいは当事者)で解決していく。これを「セルフヘルプ」と呼びます。自分の問題としっかり向き合い、状況を打開していくための“ともしび”に、これらのタイトルが一助となる、Johanの狙いはそこです。
それにつけても、いかに世の中に悩める人の多いことか。