くたびれた「ガイドブック」が、私をワイヘケ島へと導いた

初めてニュージーランド(NZ)に足を踏み入れたのは2年前のこと。バックパッカーを始めて7ヶ月が過ぎた頃。

まったくリサーチせずにその地を訪れるのは、私の旅の流儀。感動が半減するのが嫌だから。こうしていつものように場当たり的に降り立ったのがオークランドだ。第一印象は「まるで池袋」。

全人口よりも羊が多い、そう聞いていたのにあたり一面、地元の若者と観光客でごった返していた。渋谷や新宿のそれとも違う、ある種独特の“治安の悪さ”が空気に漂うこの街を落胆しながら歩く。

バックパッカー生活半年を過ぎて、見えない疲れが溜まっていた私は、とにかく癒しを求めていたんだ

「とびっきりの場所を教えてあげる」

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Photo by Koki Yamasaki

道に迷いながらなんとか宿に着いて、出会ったルームメイトにオークランドの印象を話すと、「バカね、こんな街中に羊が歩いてるわけないじゃない!」と高らかに笑った。

目尻の涙をぬぐいながら、彼女は今にもページが剥がれ落ちそうなくらい、くたびれたパンフレットを差し出してきた。そこに書いてあった文字こそ、『Waiheke Island(ワイヘケ島)』。

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Photo by Yuki Hoshi

オークランドからフェリーで約40分、島民約9,000人のこの島にたどり着いた私は、とにかく海へと続く道をバスにも乗らず、まっすぐ歩いた。

旅行者の大半は船を降りるとそのままバスに乗車。だけど私にはこれでいい。肌に吹く風を浴び、周りを見ながら歩いたほうが、この島に暮らす人々の生活を地肌で感じることができる。風にはためく洗濯物。庭で洗車をする老父。民家の前を通り過ぎるたびに、大きなリュックを背負った私に気がついた人は「楽しんで〜」と手を振ってくれた。

彼らのおおらかさは、初めて訪れた私にどこか「帰ってきた」ような、郷愁を抱かせた。

気の向くままに、海とワインを巡ろう

全長約19kmの島を描いたマップには、「〇〇Bay」の文字が実に42個。さらには約20のワイナリーがある。

ワイヘケ島は「世界で訪れたい場所」の第5位に選ばれたことがある。間違いなく、この贅沢さが虜にさせるからじゃないだろうか。

とにかく癒されたい……限界点に達しつつあった私のなかに、この穏やかさと、美味しさが十分すぎるほどに染み渡っていった。いつか、もう立ち直れないくらいに人生が苦しくなった時は、“逃避”しに戻る場所、そう決めている。

この島の巡りかた?
目的地が決まっている人はツアーで申し込むのもヨシ、行ってから決めたければ、朝早く出てレンタカーか、レンタサイクルがオススメ。バスの1日パスポートもあるけれど、本数が少ないため、計算して動かないとバス停で1時間待ちぼうけという危険性もアリ。このくらい(汗)。

PALM BEACH

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Photo by Yuki Hoshi

やぶに囲まれた静かなビーチ。フェリー乗り場からバスが運行しているから、アクセスは◎。西のはずれはヌーディストビーチになっている。脱がない人は東側へ。

HOOKS BAY

調べてもほとんど情報が出てこない、秘境とも呼べる場所。透明度はかなり高めの海だけれど、ガイドブックにはサメのマークが描いてあるため、ここでは泳がないほうがいいかも。

STONYRIDGE WINEYARD

広大なぶどう園を、外のソファー席で優雅に一望しながらワインをどうぞ。常時50種類ほどの用意があるから、時間に余裕を持って向かうのがオススメ。

TE MATUKU BAY

ワイヘキ島の南東端に位置していて、海洋保護区に指定されている。島内でも特に良好な状態で手付かずの自然が保たれていて、野鳥の宝庫に。車か船でしか訪れることのできない場所だ。

MADBRICK WINEYARD

島内1,2位を争う有名なワイナリー。赤ワインを主に作っていて、日本人の口に合う料理と一緒に味わうことができる。

「いつもありがとう」の意味を込めて、特別な人を招待したい。

擦り切れのパンフレットをゆずり受け、たどり着いたこの島は、人生で忘れることのできない場所となった。オークランドを離れてから、温泉で有名なロトルアを訪れたり、クライストチャーチなどの南島にも行ったけれど、そちらの記憶は薄れつつあるというのに。

できるのなら、日頃の感謝の思いを伝えたい人と一緒に来るのがベストなんだろう。ひとりで満喫するよりも、ワイヘケ島には「誰かにプレゼントしたくなる」ような体験があるから。

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