ジャケ買いしたら中身もミュージックビデオも滅法よかった話。

エロティックなアートワークに惹かれて購入した(いや、もちろんそれだけが理由じゃないけど、それにしてもいいジャケットだ)、奈良の3人組バンド・LOSTAGE(ロストエイジ)の最新作『In Dreams』。

激しいサウンドとセンチメンタルなメロディが心揺さぶるすばらしい出来栄えで、早くも名盤との呼び名も高い本作ですが、由々しきことに収録曲のミュージックビデオがバンドの許可なく“勝手に”制作されてYouTubeに公開されているのです

過去には新譜音源が発売前にネットに流出という苦い経験もあるメンバーはさぞ怒り心頭…と思いきや、否。そこにはバンドマン同士の厚い友情(あるいは単なるお節介?)があったのでした――。何はともあれ、まずは実際のミュージックビデオをご覧あれ。

いつも通りの日常、
だからこそ愛おしい

映し出されているのはLOSTAGEのベース&ボーカル・五味岳久さんがオーナーを務めるレコードショップ「THROAT RECORDS(スロート・レコーズ)」の店先で、ある日の様子を固定カメラ一台で捉えた至極シンプルな構成。

一日の生活を淡々と映し出しているだけにもかかわらず、なんだか妙にドラマチックで、切なくも心温まるのはなぜだろう…?

非公式ミュージックビデオが
生まれた背景

このミュージックビデオが作られた背景には、アルバム『In Dreams』の“特殊”な販売形態があります。

今回のアルバムはネット配信を行わないどころか、TOWER RECORDSなどのCDショップに置いてもらうための流通も通さず、購入できるのはTHROAT RECORDSのお店(あるいはそのオンライン・ショップ)とLOSTAGEのライブ会場のみという、ぶっちゃけもう不便極まりないアプローチ。一体なぜ、そんな反時代的なことを…?

著作権管理を委託しないなどいろいろと理由はあるようだけれど、ひとつ主因となるのは、ネットによって音楽がほとんど無料で聴くことができる現在、CDを買って初めてその音楽に触れることができるという、かけがえのない“ワクワク感”を届けたいという思い。そのため事前のサンプル配布やミュージックビデオを制作して先行公開するなどのプロモーションは一切行われなかったのでした。

作った理由は
「うぅ〜〜ってなったから」

そのように孤軍奮闘する姿を見て、旧知のバンド、8otto(オットー)のベーシストであり映像ディレクターでもあるTORA氏が、作らないなら勝手に作っちゃえ!ってことで生まれたのがこのミュージックビデオなのです。その動機を、TORA氏はこんなふうにツイート。


内容もさることながら、打算や思惑のない純粋な制作プロセスに「エエ話や…」とちょっとジーンとしてしまった次第。現在行われているLOSTAGEのリリースツアーも、各地でソールドするなど盛況とのこと。スケジュールはこちらでご確認を!

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。