「料理はニガテ」なおばあちゃんの愛情ラビオリ
いつだってあったかくて、やさしい、おばあちゃんの手料理。家族をひとつにするその味わい、世界の国々にはどんな“忘れじの味”があるのでしょう。
50カ国の台所から、おばあちゃんの料理を伝えるガブリエーレ・ガリンベルディ(フォトグラファー)によるプロジェクト「In Her Kitchen」。第1回は、ガブリエーレ本人のおばあちゃんが登場します。
【イタリア】
マリサ・バティーニ(80歳)
マリサおばあちゃんはルチニャーノ生まれ。トスカーナの田舎にあるとても小さな町です。24歳の時に結婚し、私のふるさとカスティリオーン・フィオレンティーノへと越してきました。
幼いころは一緒に過ごす時間が多く、姉やいとこたちとおばあちゃんの庭で一日中遊んでいたものです。トスカーナで生まれ育ちずっと主婦でいたくせに、こう言っちゃあれですが、おばあちゃんはそんなに料理が得意じゃないんです。
スイスチャードとリコッタチーズを
たっぷり使った「ラビオリ」
何年か前までは、試行錯誤を繰り返すことが多かったおばあちゃんの料理。それも最近では、ごく稀にしか料理をしないようになってしまいました。それでも、スイスチャードとリコッタチーズをたっぷり使ったラビオリのミートソースだけは、誰にも負けません。
おばあちゃんがこれを作るとき、決まって家族全員に「昔はみな手でパスタを伸ばしていた」という話をするんです。残念ながら、こんな珍しい話も、私たちにとって食事の間しか続かず、終わればまた、それぞれの日常へと戻っていくんですけどね。
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