中学生だった自分が「映画のおもしろさに気がついた」作品。
音楽、映画、文学など、誰にだって心のよりどころとしている作品があるはず。そんな“オール・タイム・フェイバリット”を探る週替り連載企画。前回につづいてロック・バー「ジャニス」のマスターおすすめは、ヒッチコックの映画『北北西に進路を取れ』です。その魅力をきいてみましょう。
東京・阿佐ヶ谷にあるロックカフェ・バー『ジャニス』のマスター。
昔、軽井沢のレンタル自転車屋さんでジョン・レノンと遭遇した過去あり。
(声をかけたものの、ジョンは颯爽と自転車で走っていってしまったそうです)
#FAVORITE 03.
アルフレッド・ヒッチコック
『北北西に進路を取れ』(映画)
梅村:たぶん、人生でいちばん最初に映画館でみた洋画がね、この『北北西に進路を取れ』だったんだよね。中学生のときかな。はじめて「ああ、映画ってこんなに面白いんだ」って思った。新宿のヒカリ座っていう、今はない映画館で。まったく予備知識がないままにみて、釘付けになったのは覚えています。
——お好きな洋画ってたくさんあると思いますが、きっかけになった作品?
梅村:まさにそうだね。それまでヒッチコックも知らなかったんだけど、よくできた映画で。もちろん、彼の作風ではあるけど、「こんなことあるわけない」っていうシーンもいっぱいあるよ(笑)。でも、それも含めて面白い。
僕はあまり芸術性とか、そういうのはわからないし、もちろん映画にも求めたりしないんだけど。この『北北西に進路を取れ』は、やっぱりかっこいいんだよね。美男美女がでてきてね、アクションがあって、ミステリー要素もあって、非現実的な部分もある。いろんな面白さがたくさん詰まっていてね、これは今みても色あせないな。
——たしかに、“ありそうだけど、絶対ない” というシーンはヒッチコック作品の魅力ですよね(笑)。
梅村:そうなんだよね。ラシュモア山っていうアメリカのね、4人の大統領の顔が彫られている山があるんだけど。ここを、殺し屋から逃げる男女が走るんだよね。当然、ロケでやっていると思っていたんだけど、セットなんだって。全然そう見えなくて。それを知ってからみるのも、また面白くてね。あ、このシーンには、オチがあるんだけど....それはぜひみて確認してください(笑)。
映画はたくさん好きなものがあって選ぶのは難しいんだけど、やっぱりいちばん最初に観て面白さで衝撃を受けたのは、って考えるとこの作品かな。
「はじめてこの映画をみるとき、てっきり西部劇だと勘違いして、みることに決めたんだよね(笑)。映画のポスターでは主演のケーリー・グラントが拳銃を持っていたから。そしたら全然違う内容で(笑)。中学生ながらにびっくりしました。」
『北北西に進路を取れ』〈特別編〉
DVD発売中(ワーナー・ホーム・ビデオ)
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