海外のカフェで一目惚れしたある器。なんと日本の「波佐見焼」でした!
「オーナーが、海外のカフェで使われているのをInstagramで見かけて、『これいい!うちでも扱おう』ってことになったんです」
そう話してくれたのは、目黒区にある「PNB COFFEE」の早崎さん。
「PNB COFFEE」のオーナーは外国人。そして、早崎さんは長崎県波佐見町(はさみちょう)出身。そんなふたりが海外のInstagramで目をつけたものとは、これから紹介する「HASAMI PORCELAIN(ハサミポーセリン)」。偶然にも、波佐見町で400年以上受け継がれてきた「波佐見焼」でした。
これが、世界で愛される
「波佐見焼」
まずはご覧いただきたい。
イメージと違う?それとも、予想どおり?
今見ていただいたのが「HASAMI PORCELAIN」。ちなみに、波佐見町で「波佐見焼」に囲まれて育った早崎さんがはじめて「HASAMI PORCELAIN」を見た時の感想をひと言で表すと、
「波佐見焼っぽくない」
だそうです。
そもそも…
「波佐見焼」は、確かな質と手がとどく料金設定から、“普段使い”としても親しまれている陶磁器。歴史は400年にもおよび、発祥当時から日本各地にとどまらず、長崎港から海をわたりヨーロッパへも出荷されていたという。
そして、先ほどの「HASAMI PORCELAIN」。L.A.を拠点に活躍するデザイナー・篠本拓宏氏(tortoise)のディレクションのもと、“遺産を現代のコンセプトで革新するテーブルウェア”として誕生しました。
あの「重箱」が、参考に。
器のサイズは、一定の単位にしたがって、個々のアイテムが共通の直径でデザインされているという。
ほら、だからこの通り。
かざりっ気のない、すっきりとした直線。
器が重なり合っている様が美しい。
自由に積み重ねられるということは、お察しのとおり、収納も運ぶのもラクラク。この、きれいに積み重ねられる感じ、日本の伝統的な漆器である「重箱」からインスピレーションを得たのだそう。
思わずふれたくなる
“さわり心地”
使用感も使う人をトリコにする理由のひとつ。早崎さんいわく、従来のツルツルした「波佐見焼」とは、さわり心地が違うという。「HASAMI PORCELAIN」のもとは、天然の天草陶石からつくられる磁器の原料に陶土を絶妙にブレンドしたもの。独特な素材感は、まさに、陶器と磁器の“いいとこどり”を追求した賜物だ。
ちなみに、マグカップ、プレート、ボウルからティーセットまで、日常使いのアイテムを網羅している。そしてこれまた、従来の「波佐見焼」は白磁のイメージがあったそうだが、「HASAMI PORCELAIN」は3カラー。「Natural」「Black」「Clear」と、カラーもしっくりくるものが見つかりそうだ。
「Made in JAPAN」
ふたたび海外へ
この「HASAMI PORCELAIN」、アメリカやヨーロッパにも取り扱い店があり、カフェなどのお店で利用されることもしばしば。実際に「PNB COFFEE」は、外国人のお客さんが多いそうなのだが、とくに欧米・中東圏の方は、もともと「HASAMI PORCELAIN」を知っている方も結構多いそう。きっと、現代の日本のみならず、世界の食卓にもすんなり「波佐見焼」が溶け込んでいるのだろう。
かつて海をわたった“日本の伝統物”が、また、広い世界で愛される。現代まで、脈々と伝統をつないできた先人たちの感慨深さも、それはそれはひとしおだろう。