SNSの「いいね!」には、本当の満足感がない理由
ひとり旅に出た時ほど、近況をシェアできるSNSを心強く感じたことはありません。いつでも誰かと繋がれるツールは、知らない世界へ踏み出そうとする背中を、やさしく押してくれる存在。
けれど、“心の拠りどころ”となりすぎてしまっているのは私だけではないようで。驚いたのが、最近公表された内閣府の調査結果。15歳から29歳までの男女6,000人のうち、60%以上が、「インターネット空間が自分の居場所」と答えたそうです。
<自分の部屋・家庭・学校・職場・地域・インターネット>と、数ある選択肢のなかでも、学校・職場・地域を上回る結果になっていたから。
青少年を対象に、「インターネットを利用して何をしているのか」を調査した別の報告でも、利用時間のほとんどをSNSに費やしている事実も明らかに。
心に闇をつくる
「SNS」の世界
SNSを利用することが良いことばかりではなく、悪影響も及ぼすということはもう周知のこと。不安や鬱、孤独感、いじめを煽る要因にもなることも少なくありません。
『BBC NEWS』ではこんな記事も。
約1,500人を対象に、人気の高い5つのSNS<YouTube・Instagram・Snapchat・Facebook・Twiter>のうち、より精神的に悪影響が大きいものを調べてみると、Instagramが最も悪い影響を与えることが分かったという。
Instagramの次にマイナス要因が高かったのはSnapchatで、YouTubeは不眠の原因にはなり得るけれど、自己表現やコミュニティーづくりの面でポジティブな影響の方が高かったとか。
どうしてこの2つのSNSは、マイナス面が大きいとされたのか?という問いに対して、調査を行った「RSPH」の最高責任者は、「どちらのSNSも画像重視で、それが若い人の劣等感や不安感を高めている可能性がある」、とコメント。
言われてみれば、画像がメインになると、良し悪しの判断が一目でわかるため<いいね!>のボタンを押すかどうかの判断は一瞬。どれだけ評価されたかの個人差が、他のSNSよりも顕著なのが理由かもしれません。
何度でも伝え続ける
「そこに幸せはないのだ」と。
SNSがあったからこそ夢が広がり、自信を得て人生を変えられたというストーリーだって、この世界にはゴマンとあります。
大切なのは「上手に使うこと」。なんて、もう聞き飽きてしまった人も多いでしょう。けれど、SNSの闇に飲まれてしまう危険性は誰もが抱えていること。何年も前から『TEDx』などの大きな舞台で、「間違った場所で幸せを見出そうとしてはいけない」と警鐘を鳴らし続けている、スタンフォード大学のJames Doty教授のメッセージを最後に紹介します。
より給料の高い職業、より立派な家やテレビ、最新のiPhoneシリーズ、SNS。そういった「モノ」が、幸福を生み出すことはありません。人より見栄えがいいものや、評価されるために命を費やしてはいけない。
幸福を生み出してくれるのは、“自分の内側の声”をもっと聞いて、向かい合って生きる時なのですから。