ペット・ロスが飼い主の命を奪う?「ブロークン・ハート・シンドローム」

無意識のうちに、私たちは、自分たちのことを永久不滅の存在だと思いながら生きています。「自分には関係がない」という考え方は、私たちが単純だというよりも、むしろ悲劇の死を受け入れられるようになるまで、苦痛とつき合っていくための対処方法なのでしょう。しかし、残念なことに、誰かの死というのはいつかは経験するもの。

ぐちゃぐちゃになり、悲しみ、そして、前へ進む。というのがほとんどですが、中にはその悲しみに耐えられない人もいるのです。実際にその悲しみが重くなりすぎて、心が折れて死んでしまうことだってあるのです。科学的には、ブロークン・ハート・シンドロームと診断され、心が痛くて亡くなったという人は多くいます。

米国心臓協会によると、ブロークン・ハート・シンドロームは、ストレス性心筋症たこつぼ型心筋症とも呼ばれ、死や離婚、失恋や裏切り、または恋人からの拒否など「心理的にストレスの多い出来事により引き起こされるストレスホルモンに対するリアクション」だと言われてます。私たち人間にとって、愛着が湧くのは自然なこと。愛する人は自分の一部であり、人生を過ごすうえでとても大切な存在になった誰か、もしくは、何かがいなくなってしまうと、自分たちの大きな部分も一緒に無くなってしまう。

そう語るのは「Elite Daily」でライターをするJulia Guerra。ここまで読んでみて、心あたりがあるという人も多いはず。場合によっては、死に至るともいわれる症状のメカ二ズムを紐解いていきましょう。まずは、愛するペットの死が原因で、実際にブロークン・ハート・シンドロームになった女性のストーリーから。

愛犬を失った女性のケース

The Washington Post」によると、61歳のジョニー・シンプソンは、ある朝、典型的な心臓発作の症状が出て、近所のテキサス州ヒューストンにある病院の救急救命に運ばれたそうです。そこで彼女は、ブロークン・ハート・シンドロームと診断されたとのこと。シンプソンによると、彼女の飼っていたヨークシャーテリアが亡くなってから間もなく、体の不調を感じるようになったようです。

社会的に上手くできない性格の私と友人は、いつも人間より動物と一緒にいた方がよいと話しています。でも、そんな冗談の中にも真実はあり、ただ可愛がるための猫や家を守るための犬としてだけでなく、動物が家族の役目を果たしているのは珍しい話でもありません。私たちは、配偶者や兄弟、子供などと同じようにペットを大切に愛でるもの。だからこそペットを失った時は、人が亡くなった時と同じくらい悲しみに打ちひしがれるのです。

シンプソンは、ワシントンポストにこう語っています。

「子供たちは巣立っていて、犬だけが小さな娘でした。だから、堪えがたかったんです。例えるなら、レンガの様にずしりと重く感じました」

高齢者に多く見られる症状

映画『君に読む物語』のラストシーンのように、配偶者が亡くなった数週間後、数日後、数時間後に亡くなった人の話を聞いたことがあるかもしれません。

ウィスコンシン・マディソン大学で社会学の准教授を務めるフェリックス・エルワート博士は、次のように「Healthline」へ語りました。

「ブロークン・ハート・シンドロームという現象は、社会を映し出すものであり、配偶者から死が“うつる”ようでもある」

論点とはズレているかもしれないですが、個人的には死が風邪のように「うつる」ものだというのには確信は持てません。

しかし、どうやら、ブロークン・ハート・シンドロームというのは、150年以上の研究にもかかわらず、医療関係者の頭を悩ませる種となっているようです。エルワートによる研究では、喪失感に溢れて死ぬというのはとてもロマンチックではあるけれど、同時に年金で生活できるかどうかなどの金銭状況や、夫婦のどちらか一方が主に世話をしていた場合の物質的な負荷、さらには、肉体的および心理的なストレスなどにも原因があるかもしれないと報告されています。

ハッピー・ハート・シンドローム

2017年6月、雑誌「Circulation」に掲載された記事によれば、圧倒されるほどの幸せな感情も心臓発作のような症状へとつながるそうです。これは、ハッピー・ハート・シンドロームとして知られています。

さらに、「European Heart Journal」の2016年3月号に掲載された研究は、興味深いものでした。研究者たちは1,750人のブロークン・ハート・シンドロームの患者を、強い喜びを感じて症状が出た人と強い悲しみを感じて症状が出た人とを比べました。そして「幸せな出来事と悲しい出来事における感情のたどり着く先は同じである」と結論付けました。言葉を変えると、究極の悲しみと究極の喜びは同じシンドロームを引き起こすということです。

イリノイ州にあるノースウェスタン・リージョナル・メディカルグループで、心血管疾患を専門に扱っているチンタン・デサイ医師は、研究者たちがブロークン・ハート・シンドローム、及び、ハッピー・ハート・シンドロームは共にアドレナリンやそのほか関連性のあるホルモンにより引き起こされるという結論に至ったと「US News Health」に語りました。

身体だけでなく、内面的にも、何が起きているかに気を配ることはとても大切です。私たちのメンタルヘルスと深く根づいた感情というのは、身体に多大なる影響を与えるもの。だからこそ、感情があふれ出てきそうになった時を認識して、健やかで効果的な対応方法を客観的に理解することはとても大事なことなのです。

Licensed material used with permission by Elite Daily
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