「終電で帰らなかったこと」を後悔するまえに、これを聴いてほしい。
「……飲みすぎた。」
朝帰りの道中って大抵気分はロー。どんなに楽しく飲んでいても、みんなと解散したあとには一抹の後悔と自責の念に苛まれる。のは、わたしだけじゃないはず(ですよね?)。
今から帰って寝たら起きるの昼過ぎになりそうだし、まず帰ったら帰ったでゴミ出さないといけないし、駅に向かって歩くすれ違う大人のひとたちなんかピシッとしているし、やたら朝日まぶしいし。
そんなときにはクラシックを。
例によって血圧も下がりまくったある土曜日の早朝に、下北沢の緑道を歩いていて気づいたんです。
「朝帰りとクラシック音楽、めちゃくちゃ合うな……?」
あやうく、終電で帰らなかった自分を大後悔するところでした。なにげなく聴いたクラシックが、朝帰りのダウナーな気分をすこしだけ軽やかにしてくれたんです。ピアノやヴァイオリンの豊潤な音色のおかげなのか、聴いた瞬間に自分を包む空気がふんわりと変わったわけです。
先に言っておくと、専門的な視点での曲紹介ではないからそこだけご注意を。でも音楽って、聴いて「心地よい」と思えることがいちばん大切だと思うんですよ。そんな信念だけをもって、3曲ご紹介しますね。
#01.
バッハ / 無伴奏チェロ組曲
第1番 〜プレリュード〜
「とにかく飲み過ぎて頭も痛くなっちゃって、自販機で水とか買って飲みながらふらふら歩く帰り道」には、バッハを。聴いた瞬間から、足早に歩く出勤中の人々がなんだか突然スローモーションに見え(るような気がし)ます。体感する時間のスピードが緩みはじめ、ふと澄んだ空気を吸い込んだら、なんとなく朝帰りも悪くないような気にもなってくるから不思議です。
いろんな事情があって音源を貼り付けることができないので、気になる人はこちらを。
#02.
モーツァルト / ピアノ・ソナタ
第16(15)番 ハ長調 K.545 Andante
「仕事でもプライベートも悲しいことや納得できないことばっかりで、つい愚痴りながら友達を巻き込んで朝まで飲んでしまった帰り道」には、モーツァルト。ゆっくりと流れる川を彷彿とさせるピアノの音が、上手くいかない自分をなぐさめてくれ(るような気がし)ます。朝まで飲んで愚痴ってしまった罪悪感も、こんなときだけは、その音に流してしまってもいいんじゃないでしょうか。
落ち込んでいるわけじゃなくても、いますぐ癒されたい人はこちら。
#03.
ドヴォルザーク / 弦楽セレナーデ
ホ長調 第1楽章 Moderato
「ちょっとハメは外しすぎちゃったけど、なんだかんだ朝まで楽しく騒ぎながら飲めたから良い夜だった、と思いかえす帰り道」には、ドヴォルザーク。ハイだったテンションを急速に下げてくるあの早朝の帰路、ドライアイになりかけた目と痛くなった身体の節々を、やさしい光が包んでくれ(るような気がし)ますよ。
たまには自分の心と身体を労りたい、という人はこちら。