「精神障害」で苦しむのは本人だけじゃない、壊れそうな心を救う絵。
心の病を抱えた家族とともに暮らす、アーティストのJoshua Mielsが描いた肖像画。何層も塗り重ねられたカラフルな油絵の具は、彼が心に秘める感情があらわれたように「熱」を感じる。
幸せも悲しみも、
すべて「顔」にあらわれる
Joshuaが描くのは、主に男性の肖像画。なんでも、家族の影響により男性のメンタルヘルスについて考えるようになったそうなんだ。「顔」を描くようになったのはカラダの中で心が一番あらわれる部分だから。
「誰かを救うことができない自分。心を助けられないのは、僕にとってはもっとも残酷なこと」
これは、Joshuaに家族の心の病について聞いたときの言葉。もしかしたら、今にも心が壊れそうな大切な人を自分の力だけでは助けられない、己の無力さを感じたことがあったのかもしれない。でも、絶望するのではなく、見えない病と闘おうと決めた彼。
自分の家族をはじめとする、「精神障害を抱えるすべての人々を救いたい」と、パレットナイフを力強く握りしめて決意したのだった。
誰かの「心」に触れる絵
まだまだ心の病を理解する人は少ないとJoshuaは思っている。自分の作品を見た人たちが、心に寄り添ってくれるキッカケになるように。そんな願いも絵に込められているんだ。
彼の描く「感情」から、新たに感じることの喜びや、心の奥底に眠る気持ちを呼び起こす人もいるかもしれない。絵から感情が流れ込んで、見ているうちに新たな気持ちが芽生えそうと、私は思った。 たとえ、それが悲しい気持ちであったとしても。
人の心に触れて理解することの大切さを彼は教えてくれたような気がした。