障害を「隠さない」時代。現代ならではの「補聴器」はこんなに美しい!
現代を表すキーワードの一つ、“多様性”。
互いに違いを受け入れる姿勢がジェンダーや人種問題を中心に広がってきているなか、“難聴”という障害をもつ人々を取り巻く環境にも変化が。
これまで2世紀に渡って開発されてきた補聴器は、小型・軽量化され、うまくカモフラージュされるようにデザインされてきた。つまり、いかにして難聴を“隠すか”がテーマであったのだ。
「しかし、それは隠すべきことなのだろうか?」。難聴を持つ人々が抱いた、そんな思いと疑問。
多様性の概念が一般化しつつある今日、その疑問に一つの答えが出された。
長らくかつての価値観に苦しんできた難聴を抱える人々が打ち出す、新たな“美”の形がこちら。
これは、難聴を抱えるモデルのChella Manが企画したショートムービー。耳に輝く美しい金の装飾品は、彼がデザインした補聴器カバーだ。
ユダヤ系の血を引き、トランスジェンダーでもある彼は、自身の多様なバックグラウンドを活かした発信をしている。
アメリカのファッションブランド「Private Policy」とのコラボで誕生したこちらの補聴器は、聴覚障害であることををいかに“見せるか”にフィーチャー。
「The Beauty of Being Deaf」のタイトルが示す通り、障害を持つことをネガティブなことではなく、一つの特別な“個性”であることを訴えている。
音のない水中で繰り広げれられる力強い手話が感動的で、とくに最後の「how beautiful is it to be able to communicate underwater?(水のなかでコミュニケートできるなんて、素敵だと思わない?)」というステートメントは、この作品のコンセプトを表す美しい一文。
動画は、音が聴こえる人にとっては“無音”に感じられるが、難聴である彼らにとってはその手話が“声”として聴こえているのだ。
難聴を抱える当事者だからこそ表現できる、新しい“美”の概念。
美しいカバーのデザインはもちろんだが、“個性”を活かした表現に拍手を送りたい。