クリスマスも年越しも。僕らはきっと、盆踊り。

クリスマスイルミネーションが眩しい今日この頃。世の中はこんなにも冬なのに、盆踊りに熱狂している人たちがいる。それは大阪・河内。そこで踊られているのは、「河内音頭(かわちおんど)」と呼ばれる盆踊り。

正月もバレンタインも、春でも秋でも彼らは踊る。熱気は東京・錦糸町にも飛び火して、錦糸町の人も踊る、踊る。

それは、通りすがりでも
踊らずにはいられない

日本各地に盆踊りはあるが、大阪の人、特に「河内」と呼ばれる東のほうの人はとりわけ熱狂的。彼らが踊っているのは、このあたりで生まれた由緒正しい盆踊り、「河内音頭」だ。もちろんお盆が盛り上がりのピークだが、町内会の出し物や結婚式の余興などとして彼らは年中踊っているらしい。

また、発祥の地・八尾市では、近鉄八尾駅前で盆踊りをしながら年を越す、というムーブメントがある。

「河内音頭 カウントダウンライブ(近鉄八尾駅前噴水広場)」

なぜそんなに踊るの? 答えは単純、楽しいから。メロディやステップを知らない人、通りがかりの人、外国人でも踊りの輪に入れば踊れてしまう。生まれ育った土地の盆踊りなら、もはや体がバイブスを知っている。それに、現代の河内音頭はや三味線などの和楽器になんとエレキギターが加わり、なんとも陽気で踊らずにはいられない。

 エレキありレゲエありの柔軟性
それが河内音頭の魅力

「八尾地蔵盆踊り(常光寺)」

盆踊りとは、その名の通りお盆(夏)に行うもの。お盆にはあの世に行った先祖の霊が帰ってくるから、「こちらにいる間は一緒に踊って楽しく過ごしましょうよ」と歌い踊り、ニコニコ笑顔になった先祖をまた送り出す、というのが盆踊りの本来の姿。次第に娯楽性が高まったりし、アレンジされて今に至るというわけ。

 

全国に盆踊りはあるが、エレキギターなどの電子楽器、ジャズやレゲエへのアレンジなどなんでもありというのは、河内音頭独特だ。屋外で人をより熱狂的に踊らすため、音頭取りがこのようにアレンジしてきたのだろう。河内音頭は、時代の空気や流行音楽を呑み込んで進化する変幻自在な踊りなのだ。

「河内音頭 カウントダウンライブ」

歌詞も振るっている。代表的な「河内十人斬り」は、

 

 “北の夜空に光るのは 逆さ杓子の七ツ星

  星より三ツ人を斬り 何故泣くのか熊太郎”

 

と、10人惨殺事件がモチーフ。かなりヤバイ内容。なのにみんな楽しそうに歌い、踊る。

そんなラテン調であっけらかんとした明るい踊りに魅了された人たちが、東京に紹介して根づいたのが「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」。毎年、会社帰りのサラリーマンはビジネスバッグをかついで、お父さんは子供を肩車にして、きれいなお姉さんも…みんな汗まみれで踊る。しかも、3万人もの人が踊りにくるというから驚きだ。

踊りたいなら踊ればいい
今日もどこかで踊れるし

2017年11月に鉄砲光丸という音頭取りの「芸道70周年」を記念する公演会が東京・錦糸町で行われた。終演に向けて会場には踊りの輪ができ、大阪からはるばるやってきたらしいおばちゃんたちも水を得た魚のように踊っていた。生歌で、みんなで踊る高揚感を知ってしまった人は、きっとこうなる。いつでも、どこでも踊りたくなる。季節なんて関係ないのだ。

 

さあ、踊りたくなったあなたへ。

 

冬でも踊れる盆踊り情報をご紹介する。

大阪・八尾では、大みそかのカウントダウンを皮切りに、3月から屋内での音頭会が開催されはじめる。東京では3月17日に池袋の東京芸術劇場での「東京都民俗芸能大会」で踊る機会があるらしい。また、2月18日午後1時30分から墨田区両国の回向院本堂で子どもたちを中心とした自由な河内音頭会が開催される。大々的に宣伝をしないので、ブログやTwitterなどで情報を集めよう。

 夏に汗だくで躍るのもいいけれど、冬こそ体が温まって健康的。冬の盆踊り、実はいいことずくめなのだ。

「第40回 八尾河内音頭まつり」。“最大の盆踊り Largest Bon Dance” として2872人が踊り、ギネス記録達成。

 ◆イベントや練習会をCHECK!

近鉄八尾駅前での「河内音頭カウントダウンライブ」は今年も決行。また、自治体や有志主催の不定期開催の「練習会」があるので、サイトやSNSで情報を集めよう。

八尾市観光協会(大阪)

イヤコラセ東京(東京)

 

◆盆踊り会館をCHECK!

有名盆踊りのご当地には「盆踊り会館」があることも。お盆以外でも踊れるイベントを開催したり、館内で踊り体験ができたりする。

西馬音内盆踊り会館(秋田)

阿波踊り会館(徳島)

 

◆盆踊りエクササイズをCHECK!

エクササイズとして、東京音頭などが踊れる。

セントラルフィットネスクラブ南青山

Licensed material used with permission by 一般社団法人・八尾市観光協会
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