タイ料理、アロマ、シーカヤック。廃校をリノベした日南の「潮の杜」へ行ってみた
宮崎市から220号線を南下。キラキラ眩しい日南海岸線をドライブしていると見えてくるのが「旧 潮小学校」。2011年に廃校になり、120年の歴史に幕を閉じたそうです。
宮崎県・日南市にあるその廃校は、2014年に「潮の杜(うしおのもり)」としてリノベーションされ、子どもから大人までコミュニティ交流や、自然体験ができる “場” として生まれ変わりました。
「300年後も、子どもたちがこの海で遊べるようにしたい。こういう山や海の環境を残していくことも、都会が進化していくことと同じくらい価値があることだと思うんです」
「昔は良かった」
なんて…僕は言えないな
現在、「潮の杜」には校舎や校庭のスペースを使った、様々な施設があります。キャンプ場からタイ料理屋、フレグランスショップ、フラ教室、シーカヤック工房、ネイチャーガイドの受付まで。
案内してくれたのは、代表の小椋祥司さん。かつてはハワイやオーストラリアを拠点に、世界を旅しながらウインドサーフィンのプロとして活動していたそうです。日本に戻ってきてからも “いい波” を求めて家族4人でキャンピングカー生活をしたり。
「海沿いを旅しながら、最終目的地は宮崎。生まれは延岡の自然に囲まれたところだったんですが、ハワイに住んでいたときも、つねに人と自然の共生を感じていました。僕は…僕らの世代は、もう楽しいこと存分にやったんですよ。まぁこれからもやるんですけど(笑)。ただ、次の世代もそういうライフスタイルができるような環境を残してあげないと。『昔は良かったね』なんて、僕は言えないな…」
そんな小椋さんが、地域の自立を目指しながら、コミュニティと自然に触れ合う環境を作るために活用しているのが、「潮の杜」なんです。
いくつか施設を見てみましょう。
01.
教室で絶品タイ料理?
「ギンカーオ」
「ギンカーオ」では、懐かしい教室の雰囲気をそのままに、本格的なタイ料理が味わえました。
市外や県外からのお客さんも多いようで、意外なほど(と言ったら失礼か)おいしい、と評判。甘みと辛みのバランスが良くて、客層も幅広いそうです。
パット・ペット・ムー・マラコ。日本語にすると「豚肉と青パパイヤの辛みハーブ炒め」。
食べ進めるうちに額からジワッと汗が出てくるちょうどいい辛さで、ごはんも進みます。他にはグリーンカレーなども人気メニューのひとつ。
店名にもなっている「ギンカーオ」は、タイ語で「ごはん行くよ」というような挨拶的な言葉で、以前店主がタイの料理屋さんで働いていたとき、店のオーナーの口グセがこれだったそう。
給食気分で、ぜひ。
「ギンカーオ」
住所:宮崎県日南市富土4028-4 潮の杜1F-7
電話:090-8639-5614
定休日:火曜日(その他はFacebookにて告知)
ランチ 11:00-15:00(Order Stop 14:30)
ディナー 18:00-21:30(Order Stop 21:00)
02.
職員室に広がる
「日南の香り」
もともと職員室だった部屋を使っているアロマテラピー専門店「LC宮崎」。LCはLife Comfortの略で、「人生の癒し」を意味しているそうです。
そもそも宮崎は、香りの宝庫。
日向夏やへべす、柚子などから天然100%のエッセンシャルオイル(精油)を蒸留して、香りを楽しんだり、化粧品や食品の香料に使っています。フェイシャルオイルやハンドクリーム、石けん、スプレー、などなど。
ちなみに精油というのは、植物の花や根っこ、葉、枝、果皮などに含まれる天然100%のアロマオイルのこと。
無農薬で、保存性が高く、製造直販の新鮮な精油が、お客さんを惹きつけるポイントなのかもしれませんね。
蒸留や香水作りはワークショップや体験もあるので、目の前に日南海岸が広がるカフェで、爽やかな香りに包まれながら過ごす週末もいい。
住所:宮崎県日南市富土4028-4 潮の杜1F-1
TEL:0120-961-398
定休日:日曜日
営業時間:11:00〜15:00(月〜金)、10:00〜16:00(土)
※祝日も営業
※イベント出店などでお休みになることもあり
(Facebook)
03.
体験やツアーの相談も。
シーカヤック&カヌー工房
海岸線にふさわしく、シーカヤックやカヌーの製造・修理などの専門ショップ「WFK宮崎」もあります。
海が目の前にあるので、シーカヤック体験やカヤックフィッシング、カヤック×シュノーケリングなども楽しめるそうです。
工房も兼ねているので、申し込みの際は事前に要確認を。
廃校を使って
次世代へコミットする
廃校利用が、コミュニティを生み、自然体験のきっかけの場となる——。
言葉にすると簡単に聞こえるかもしれませんが、その先に見据えているのは、地域産業の発展や、自然環境の保護、人材教育、雇用創出といった、いわゆる「地方活性」。
「確かに大変なこともありますけど、僕は海に就職したようなもんなんで(笑)」
と笑う代表の小椋さんの言葉が、柔らかくも力強く、次世代へのコミットを感じさせてくれました。