ラーメン屋じゃない。つくばにある製麺所の“試食コーナー”です

「明日の朝ごはんどうする」

「なんか、美味しくて体に良いものかなぁ」

「体に良いものかぁ……。よし、じゃあ、アレにしよう」

「なに?」

「ラーメン」

「エッ! 朝ごはんに!?」

「そう」

ラーメン食べに
朝からつくば!

そんなわけで、筑波山の麓にお店を構える「松屋製麺所」さんで、朝ごはんにラーメン食べてきましたよっと。

向かって左に麺の販売コーナーがあり、右側に“こちらは有料試食コーナーです”と書かれたイートインスペースらしきものがあります。

注文は、奥のカウンターで。お金もここで支払います。席について少し待つと呼ばれるので、自分で取りに行きましょう。チャーシュー麺にも惹かれつつ、ここはあえての「らーめん500円」。

いただきます。

らーめん 500円

はい召し上がれ。フーフーしてな!

麺が、朝日を浴びて輝いております。キラキラ……。スープは魚介だしのあっさり系、そこにもちもちの太縮れ麺。具は、シンプルにねぎのみです。

店内に、こんなことが書かれた張り紙も見つけました。

松屋製麺所のらーめんセットは…。

 

1、美味しい

手打ち式製麺なので、もちもち、つるつる。国産小麦使用で香りも抜群。

 

2、体に良い

麺は小麦粉、塩、かん水のみ。スープも無化学調味料。

 

3、御自宅で簡単に調理できる

麺を鍋で茹でれば出来上がり。スープもインスタントタイプなので茹でる時のお湯でも大丈夫。

 

4、手頃な価格

 

ラーメンだけど、体に良い。脂っこくない。だから、朝ごはんに食べられるのです。いわゆる“朝ラー”ってやつね。というか、お店は基本的に18時までだけど、試食コーナーはお昼すぎくらいには売り切れで閉まることが多いみたいなんで、朝に行ってください。むしろ朝。あえて朝。

……ん? というか、張り紙の冒頭に「らーめんセット」って書いてありますね。

うちは“ラーメン屋”ではありません

はい、そうでした。松屋製麺所、ここ、ラーメン屋さんではなくて“製麺所”。つまり麺を作ってラーメン屋さんに卸しているところ。

「だから本格的にラーメン屋をやったら、ライバルになっちゃうでしょ(笑)。うちはあくまで裏方です」

と、店長の川村さん。でも、ちょっとわかりづらいかなって思って、店の中に試しに食べてもらえるスペースを作ったんだそうです。

「良い空気と水のあるところで製麺所をやりたかったんです。自分が喘息持ちだったり、子どもたちも小さいので、なるだけ環境がいいところを探してて。長野のアルプスのほうとかを考えてたんだけど」

たまたま見つけたんです。

「ここ、昔は土産物屋さんと食事処だったんだって。大正時代からあったみたいだけど、屋根も抜けて、建物も傾いた状態でした」

そして、お店の目の前に筑波山があった。それを見た時、川村さんは決めたんですって。ここだ、って。

冷蔵庫の中に常に
ストックしていてほしい

それにしても、自宅で簡単に作れるものを体に良い素材で、なるべく低価格で、って消費者からすればかなり嬉しいコンセプト。

「スーパーで買える麺はボチボチ美味しいかもしれないけど、体に良くないものが平気で入っちゃっていることも多い。まずは食べ物は美味しくないと売れないと思ってるから、旦那さんにも美味しいって喜ばれるものを作りたいです」

かつ体にも良くて家計への負担も少なく、奥さんにも喜ばれるものを目指さないと選んでもらえない、とな。

そうすることでしょっちゅう買ってもらい、いつでも松屋の麺が家庭の冷蔵庫に入っているというのを願って作っているそうですよ。

確かに、松屋製麺所をおすすめしてくれたつくばの人も、ストックがあるって言ってた〜。なくなると、松屋さんの麺なくなったから買いに行かないと!っていう感じになるって。

「うん。そういう人が増えてくれればいいな〜と思うんですよね。だからコストもギリギリまで抑えたい。でも、厳選した国産小麦しか使わないし、化学調味料は一切使っていないし、材料は決してケチったりしませんよ」

ほんと、もう、いろいろ考えてくれてありがとうございます(土下座)。

そんなわけで、お店のメインは麺の販売。種類は日によって多少変わるけど、基本的にはこんな感じのラインナップ。

・松屋らーめん(中ストレート麺)

・太ちぢれ麺 

・細ストレート麺 

・全粒粉麺 

・汁無し坦々麺(2食入り) 

担々麺以外はすべて、選べるスープ(醤油、味噌、塩)付き、5食入り。ちなみに試食コーナーで出てくる麺も、日によっては細麺だったり、担々麺の日もあるそうですよ。

ちなみに私は汁無し担々麺セットをゲット。パッケージに書いてあったオススメの食べ方(ひき肉とねぎを炒めて一緒に混ぜる)でいただきましたが、これは簡単で美味しすぎる……参りました。

美味しく食べる方法を
お客さんが教えてくれる

最近は、なんと常連のお客さんが麺のアレンジレシピを開発して、広め始めてくれているんだそう。

「全粒粉の麺でパスタ作ったら、めちゃくちゃウマかったよって。夏場になると、塩焼きそばもおすすめ。うちの麺と塩スープの粉使って、野菜も一緒に炒めれば塩焼きそばになるんです。冬場は鍋のシメで食べたりとかもね」

すごくいいなあと思ったレシピは、そのまま他のお客さんに教えてあげたりもしているそうです(笑)。

試しに頭の中でカルボナーラ作ったり、塩焼きそば作ったら、それだけでめちゃくちゃ幸せな気分になりました。常連さんよ、ありがとう。

ちなみに、お店の目の前には路線バスの停留所「筑波山口」があります。つくば駅からは目の前のバスプール3番から乗って、だいたい45分くらいなので、つくばの街並みや山並みを眺めながらバスで来ても良いかも。

「この辺は田舎だから、のんびりやってます。じつはラーメン屋さんへ営業に行ったこともほとんどなくて、ここでなんとなくやってたらお声がかかったりして。いつの間にか、近所の幼稚園でイベント的に給食を作ったりも」

「せっかくだから、子どもたちに本場の料理を食べさせてあげたいなと思って、本だけでなくモンゴル料理店で勉強したりもしましたよ」

どんな時も、食べる人想いな川村さん。そして従業員のモトちゃん。

自然なお二人の作る空気感のせいなのかな? ラーメン屋さんにせよ、製麺所にせよ、本来のんびりしていいようなお店ではないかもしれないんですが、ここは本当に2時間くらいぼ〜っとしていたくなるような雰囲気のお店なのです。

「でも取材時間おしてる(オーバー気味)みたいだから……」

わぁ〜そうだった。ごちそうさまでした! また来ます〜〜〜!

Photo by Etsu Moriyama
取材協力:つくば市

松屋製麺所

住所:茨城県つくば市沼田300

TEL:029-896-5298

営業時間:7:00〜18:00

(※試食部は昼過ぎには売り切れのことが多い)

定休日:水曜日

 

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。