筑波山・ガマランドの闇は、ミレニアル世代のためのもの。
この場所で、生き方について考えるなんて、思ってもみませんでした。だって、筑波山の麓にある、ただのB級スポットだとばかり思っていたから。
ようこそ、ガマランドへ!
筑波山に行くと、カエルモチーフのお土産がたくさんあるのですが、これは、ガマガエルが筑波山と深く関係しているから。
と言うのも、山頂のハイキングコースに「ガマ石(見た目がガマに似ている)」と呼ばれる石があって、この石の前で伝統芸能の口上「ガマの油売り」のネタが誕生したと言われているため。
でも昔は、ガマが有名なのに筑波山にはそれをアピールするものが全然なかったんだって。だからガマランドができたんだそうですよ。
B級すぎて、B級すぎて、震える。
ガマランドは、筑波山の東側、女体山のロープウェイを下るとすぐ。予告なくいきなり出てきます。こんな感じで。
右側には売店があってお土産などが売られているんですが、屋根の上を見上げると……。
何かいます。そしてそれを上から見下ろすと……。
こんな感じになっていました。眺めがいいです。例の手の持ち主は、よく見るとガマガエル型の乗り物で、中にシマウマが乗っていました。どゆことっ。そして、この写真を撮った場所の柵にこんな注意書きが。
“日本ではじめて空を飛びました 今屋上でちょっと一休みです”
笑いのセンスが高尚すぎてついて行けません。
不安と期待入り混じるなか、遊園地ゾーンも散策してみましたよ。
まず、すべり台です。ここにも、注意書きが。
“気をつけてすべりましょう ケガの責任は負いかねます”
コワイ。でもこのすべり台は現在使用禁止なので、滑ってはいけません。
そして無料スペースシャトル。後ろでガマ大明神が見張っていますね。コワくて乗れません。
そのガマ大明神。ガマランドの頂上に鎮座しておられます。コワイです。ただ存在がコワイです。
動かない遊具もコワイ。
目がコワイ。
顔がない。コワイ。
もうコワイ。意味はない。
そしてここが一番コワイ。
ガマ洞窟。入場券・大人500円(子供200円)は、隣の売店で購入します。
ちょっと大人の事情で写せなかったんですが、入り口の右横に、某世界名作劇場の人気キャラクターがいて、手に「無事通れれば、どんな災害も免れるでしょう 通ってみてね ラスカルより」って書いた看板持ってました。無理かもしれない、もう戻って来られないかもしれない、って気分になりますが、ここで大切なのは、
“一歩踏み出す勇気”
これだけです。
とにかく、暗いです。
足元がフカフカしていたり、予想外のものが登場したりしますが、あえてこれ以上は言いませんね。これだけ見てください。
「足元に気をつけて下さい」の矢印の先に浮かび上がる文字。
……死!
若い人に、あえて暗い道を
進んでほしいの
「今の若い人は、自分で探すってことには慣れていないような気がしてね」
ガマ洞窟を抜けたところに、“雅子さん”はいました。雅子さんは、ここで働くお母さんです。おしゃべりが始まったのはなんとなくだったのですが、話に花が咲き、思いがけない内容まで聞くことに。
「暗かったでしょう。でも暗いって言っても10分くらいのことだからね。何があるかとか、道はどこだとか、自分の足と感覚で探しながら歩くということを、若い人に身につけてもらいたいのよ。そしてどんな災難も切り抜けられるようにね」
そう、それがこのガマ洞窟のコンセプト。
「例えばね、わたしらが子供の頃は、夜は暗いものだったの。そこを懐中電灯とかを持って歩いてた。ところが今の人は、暗くて道が見えないから明るくしてほしい、明るいなら行く、とか言う。他人任せだったり、どうぞって与えられたものばかり選んで自分で苦労しない人も少なくないんじゃないかと思うの」
モノや情報が溢れる今は選択の時代とも言われるけれど、確かに、ある中からではなく自分でいちから探す機会って減っているのかもしれません。
「今はみんなスマホとか持ってるから、ここでもライトつけて歩いちゃう人も多いの。でもほんとは暗い中を歩いてみてほしいのよね。ほら、若い時の苦労は買ってでもしろっていうじゃない」
ガマランド、ただのB級スポットじゃありませんでした。コワくて、楽しくて、生き方について考えさせられる味わい深さまであって。そして何より、デートにおすすめ!
「ガマランド」
住所:茨城県つくば市筑波つつじケ丘
TEL:029-866-0658 (筑波ニュー三井谷)
営業時間:9:00〜17:00(冬期は9:00〜16:00)
定休日:2月・9月・12月の木曜日(不定休もあり)
ガマ洞窟の入場料:大人500円、小人200円