自転車でいろいろな街を走った、そして決めた。「つくばに住む」。
思ったわけです。
街の自転車屋さんなら、その街のいい場所をいろいろと知っているかもしれない。自転車が好きなら、その街のいろんな場所を走って来ているはずだから、って。
それならいい人がいますよ、ってつくばの人に紹介されたのが彼でした。
福田さ〜ん
つくばにあるサイクルショップ「タスサイクル」の店長・福田さんです。代官山とか、原宿とか、もともと東京のおしゃれタウンで働いていたけど、つくばが気に入って越して来ちゃった人。
でも、いろんな街を走ってみて、移住先にこの街を選んだって言うんですね。つまりそんなふうに彼を引きつけたものが、この街にはあるんです。
だから、それをひも解くために、少しだけ教えてほしいことがあります。
福田さんがおすすめの場所。お気に入りの道や風景。それを辿りながら話しませんか。
「いいですよ。つくばはね、本当に、いくらでも遊べる街ですよ!」
木漏れ日の中を駆け抜ける
並木道
まずはね、ここを走りました。筑波大学の各施設の間を通る並木道、「かえで通り」。
「通勤ラッシュの時間帯を避けて通ると、のんびり走れていいと思います」
今回走ったのは2月半ばくらいでしたが、木々に葉っぱのある季節は、木漏れ日が綺麗だそうですよ。紅葉の時期もいい感じ。
「つくばって平坦なので、ライフスタイルでも自転車を使える町。
TX(つくばエクスプレス)に乗ったらあっという間。ハッとしたら目の前には研究学園の街が広がってて、筑波山も見えて、つくば、なんかすげーなって。奥さんの用事に付き合ってたまたまつくばに来た時に思ったそうです。
しかも、街なかを見渡したら自転車屋がやたらが多い……激戦区だ、需要がある、ここだ!っていう流れね。
「実際お店出すのにいろいろとリサーチはしたけど、つくばのこの辺は、東京みたいなもんでよそから来た人も多い。だから、土地のしがらみも少なくて、新しいことをはじめやすいのかもしれませんね」
自転車を愛する人が
多い街
かえで通りを抜けたら、静寂と緑の中、厄除けの神様で有名な「一ノ矢八坂神社」前を通過。
「つくばって、国の研究機関や企業も多いので転勤族も多い。どうせまた転勤になるかもしれないからと、車じゃなくて自転車買う人が多いとかで」
海外の方も多いから、合わせて自転車人口が高いというわけですな。
「あとはお客さんと話していると、子供の教育に熱心な方が多い印象。車ではなく、自転車に子供を乗せてあちこち行くことで、暑い、寒いを自分の肌で体感させたいって」
車はエアコンあって快適だけど、幼心に親の自転車の後ろに乗せられて走った記憶って、結構ずっと残るもの。そういうものを、意識的に残したがる人が多いんですって。
雑貨屋さんみたいな
自転車屋さん
ところで福田さんのお店って、“自転車屋さん”というより、“雑貨屋さん”という感じですよね。
「なんとなく雑貨屋ってふらっと入れるじゃないですか。でも自転車屋は敷居が高いというか……なんかこう頑張って入んなくちゃ行けない感じがありますよね。そういうんじゃなくて、面白いものないかな〜って気軽に遊びに来てもらえる店を目指してます」
つくばはレース思考のお客さんも多いけど、自転車は遊ぶ道具、お店はそれを手に入れる場所という価値観でやっているんだそうです。
遊べる本屋はヴィレッジヴァンガード。遊べる自転車屋はタスサイクル。そんな感じでお願いします。
ここは…ここは…いいっ!
その後、一気に筑波山の方まで向かいました。そして次のポイントが、今回、個人的に一番ささった風景。
ただひたすらにまっすぐな田んぼ道。駆け抜けてください。道の向こうに見えるのは、筑波山……ではありませんが、駆け抜けちゃってください。最高に気持ちいいから。(筑波山も左の方に見えますよ)
その後は、鎌倉から戦国時代にかけて茨城県南地域に勢力をもった小田氏の拠点、「小田城跡」の脇を走って……。
すぐ側の「つくばりんりんロード」を進みました。りんりんロードってのは、つくば市の北西にある桜川市から、つくばを通ってさらに北東の土浦市までを結んだ、全長約180キロのサイクリングコース。交通量も少なく、全体を通して比較的平坦で走りやすい道が続きます。
小田城跡すぐそばのりんりんロードは桜並木なので、春はピンクの中を走れるということですね。素敵。
これ、私、
100個食えます(笑)
だいぶ走りました。ここまでで、ざっと走行距離20キロ。ということで、福田さん行きつけのモグモグスポット・その1に到着です。
「沼田屋」さんです。
沼田屋さんは、筑波山の麓にある創業100年以上の老舗和菓子屋さんで、筑波山名物の「がままんじゅう」なんかを作っているところ。
が、今回のお目当は“がままんじゅう”ではなくて、“カリントウまんじゅう”です。
「ここの“カリントウまんじゅう”は本当におすすめ。何個でもいけちゃう」
はい、これはですね、全国各地のカリントウまんじゅうを食べ歩いたのち、やはり我が地元福島のものが一番だと自負していたこの私の舌を持ってしても、うまい。迷いなく買いましたもん。5個入り2袋。合計10個。一人暮らしですけど。
ちなみに、買ってすぐのカリカリを是非食べてほしいんですが、翌日以降は弱火のフライパンで焦げないように炙ると、できたての美味しさが復活します。レンジ、トースター、直火‥‥いろいろ試したけど、最終的にこの方法が一番良いという結論に至りましたのでご参考まで。弱火、弱火ですよ!
「沼田屋」
住所:茨城県つくば市沼田1400
TEL:029-866-0036
営業時間:9:00~18:00
定休日:無し
糖分補給は続くよ
どこまでも
お次のモグモグスポットはこちら、「桜井菓子店」さんです。エッ、まだ食べるの?
食べますよ。お母さん手作りのあんドーナツ。
1個108円、普段お一人で切り盛りされてるので、是非お釣りなく持って行ってあげてください。これまた何個でもいけちゃう系なんですが、5個買うとして、540円ね。
お母さん、「もう宣伝なんてしなくていいのよ」なんて言ってましたが、美味しかったから紹介させてください。素敵な笑顔と楽しいおしゃべりもありがとうございました。
「桜井菓子店」
住所:茨城県つくば市神郡76
TEL:029-867-2750
営業時間:9:00〜17:30(17:00過ぎには閉めることもあり)
定休日:水曜日午後(間違えて訪問する人のために午前中は営業)
つくばって、思いついたら
パッて遊びにいける街
そんなわけで、本日のゴールはここ、平沢官衙遺跡。奈良・平安時代の常陸国筑波部の役所跡です。こののんびりな空気感に包まれながら、ゲットしてきた桜井菓子店のあんドーナツをモグモグモグ……。本日の走行距離、およそ25キロ。あんこの甘さが身にしみます。今さらですけど福田さん、相当な甘党ですね?
「はい、普段から甘いものを消費するために自転車漕いでるようなもんなんで(キリッ)」
あら。それって、お菓子食べるのやめたくないからそのぶんジム行って消費してる私と似たようなもんですね(キリッ)。
「つくばの面白いところはねぇ、やっぱり、遊び場所がたくさんあって、パッと行けるってことなんじゃないかなぁ。都内にいた時みたいに、予定立てて、レンタカー借りて、現地まで移動してから…ていうのがない」
思い立ったらいくらでも。車、バイク、自転車、ハイカー、ランナー、みんな思い思いに本気で遊んでいるんだって。
「あとほら自転車乗りって、地方で急な山道を走ってると、結構車の人に冷ややかな目で見られたりしますよね。そんなに頑張って……って。でも、つくばは自転車乗りがいっぱいいるから、周りも楽しんでいるのをわりと温かい目で見てくれたりしますよ。いいですよ(笑)」
今回福田さんが見せてくれた風景、オフシーズンで緑が芽吹く前だったけど、広くて、穏やかで、進めば進むほどに心がフラットになりました。すごくよかった。
でもやっぱり次は、8月あたり、両サイドが緑になったあの田んぼ道を爆走したいと思ってます。そして『夏色』とか歌っちゃう。全然下り坂じゃなかったけど。(通じているかいミレニアル世代よ)
彼がつくばに惹かれた理由、みんなにも少しは伝わったかな。
とりあえず、これからの自転車乗りが目指すべき街は、「SHIMANAMI」じゃなくて「TSUKUBA」なんじゃない?
住所:茨城県つくば市東新井38-6
TEL:029-896-8253
営業時間:13:00〜20:00
定休日:火曜日(*レース参加で土日祝日も休みあり)