つくばのカリフォルニアで解けた、BBQへの誤解

日本のみんな。

“BBQ”って、夏場に外でワイワイ肉や野菜を焼くことだと思ってませんか?

茨城県つくば市にある「BAR-KIN(バーキン)」の店長・河合さん曰く、あれはただの“野外でする焼肉”だそうなんです。

「BBQって、アメリカでは、肉を低温で長時間焼くことによって、かたまりでも美味しく柔らかく食べられるようになる調理法のことをいうんですよ。それにアメリカのBBQはおもてなし料理。一家に一台グリルがあって、明日ゲストが来るってなったら前日に仕込みをするんです」

河合さんは、日本BBQ協会公認・BBQ上級インストラクターの資格を持っている人。日本に200人くらいしかいないんですよ。そんな彼が焼いてくれるお肉、期待高まりまくるでしょ?

これが、
本場のBBQマシーンであります

なぜか、神々しい……。

「BBQグリルって、日本ではただの網だったりするんですが、正式なものは蓋つきです。インダイレクトグリルって言って、間接的に焼くんですよ。右の小さい所に炭や薪を置いて、庫内温度を高めて焼きあげます」

豚の肩肉を8時間焼くなんてメニューもあるけど、ゆっくり低温で焼くことにより、柔らかく美味しく仕上がるんだそうですよ。

肩書き欲しさに検定受けたら
すっかりハマりました

ちなみに……バーベキュー協会認定の資格って、一体どこで取れるんですか?

「検定は全国でやってるんですよ。協会主体だったり、お店主体でやってたりもして、ここでもやってますよ。私も店始める前は20年くらい会社員だったんですが、面白そうだし肩書き程度に持っててもいいかなと思って検定受けてみたら、ハマってしまって」

普通のBBQと思って教わりに行ったら全然やってることが違ってたんだそうです。炭の起こし方から調理方法、筆記試験まで、全てにおいて楽しいし、美味しくて、ハマる人が多いんだとか。初級は筆記試験だけで取れるらしいですよ!

「BBQって、教える人がいないじゃないですか。みんな適当に炭を買って、着かない着かない言ってる。BBQ検定を受けると、うちわも着火材もいらない炭起こしができるようになりますよ」

そこに、どんなテクニックが?

「これに炭と、下に新聞紙を入れて火をつけるだけです」

ファ!?

 

本場の味のお肉を
食べてほしいのです

さあみんな、BBQがなんたるか、だんだんわかってきましたか。いよいよ仕込んでおいたスペアリブを持ってきていただきました。この塊で、4時間ちょっと焼いたもの。

「カットした薄いお肉で、焼肉のタレ味のBBQじゃなくて、全然違う本場の味を知ってほしい。本場は場所や流行りでも味がいろいろ違うけど、うちのはオリジナルのスパイスと、このBBQソースで味をつけてます」

ジャックダニエルの
BBQソース?

ジャックダニエルって、ウイスキーのイメージでした。でも、BBQとの繋がりが深いみたい。このBBQソースもいろんな種類があって、アメリカではメジャーな商品なんだそうです。

「ジャックダニエルのBBQ大会ってのがあるんですよ。他の大会などで優勝したチームや推薦を受けたチームしか呼ばれないんです。だから、その大会で優勝したら実質世界一という感じですね」

ちなみに、他にもお酒のメーカーでBBQソース作ってるところは結構あるんだって。

「あ、ジャックダニエルといえば、うちで面白い飲み方をおすすめしてるので、試してみませんか」

燻製氷で、スモーキーな
ジャックダニエル

「水の状態で燻製をかけるんですよ。ステンレスのコップに水を入れて、スモークボックスに入れて香りをつける。それを凍らせて、これでジャックダニエルをロックで飲みます」

この飲み方、日本のお店でやってるところはおそらくここだけ。

「こんなに燻製の香りがするんだって驚きました。KCBS(カンザスシティBBQ協会)の方が日本に来た時に教わった方法。ジャックダニエルが、サトウカエデの木の炭で濾過して、熟成する樽の中を焦がすんです。だからスモークの香りとすごく合うんですよね」

うまく言えないけど、私の大好物・ヒレ酒に通ずる病みつき感。

「氷が溶けてくると、また違った味わいになりますよ」

さ、お肉食べて、遊びましょう

お肉もいただきました。オリジナルスパイスが香る表面は香ばしくて、中はしっとり。手で持ってかぶりつくんですが、想像してた感じと全然違って、骨から簡単に剥がれました。んまい。

「前はコース料理だけだったけど、単品も始めたのでふらっと来てスペアリブとお酒を飲んでもいいし。筑波大生も結構来てくれますよ」

若者と言えばお肉だから……と思いきや、意外に野菜の美味しさに驚かれるんだそうです。素材にあった焼き方で調理することで、野菜本来の味が引き出され、驚くほど美味しくなってしまうのだとかで。

そういえば、お店のコンセプトは「食事+α」。

「アウトドア、山登りやキャンプが好きなので、お店も山小屋をイメージして作りました。みんなでワイワイ来る方もいれば、少人数でゆっくりされる方も。いろんな楽しみ方ができる、今までにないお店です」

山グッズとか、アンティークグッズとかも置いてあって、店内にあるものはほとんど買えるそうですよ(気になったものがあれば、スタッフさんに伺ってみてください)。

外には広い庭があって、ブランコや、体験版のボルダリングやスラックラインなんかもあります。周りは塀で囲まれているので子どもたちも安心。よいしょ。

スラックライン、初めてやりましたが全然進めません(汗)。結構バランス感覚には自信あったのに。

「コツは、手を大きく使ってバランスをとり、まっすぐ先を見ることですかね。あと、ベルトをまっすぐ踏むこと」

難しい! そして、出来なさすぎて盛り上がる!

ちなみに、こんなのも貸してくれます。ハンモック。

いかん。このままでは長居してしまう……。

「普通の店ではあまりよくないのかもしれないけど、うちは長居してくれるのが嬉しいです。女の子のお客さんでお酒なしで6時間いた子たちもいますから(笑)」

ふぁ〜、なんかもう家に帰るのが面倒だなぁって気分になってきました。

そう言えば、取材に同行したアメリカ在住経験のあるスタッフが、「ここはカリフォルニアみたいで超懐かしい」って言っていたんですよね。

「庭にテント張って映画鑑賞会したり、ジャズライブを開くこともありますよ」

カ、カ、カ、カリフォルニア〜!

ってもうなんか叫びたくなりました。行ったことないけど。

いい感じにジャックダニエルが回って来たようです。

BAR-KINは、つくばのカ、カ、カ、カリフォルニア〜!

Photo by Etsu Moriyama
取材協力:つくば市

BAR-KIN(バーキン)

住所:茨城県つくば市柴崎春風台A36街区4

TEL:0298-46-1733

営業時間:11:30〜26:00(翌2:00)

定休日:不定休

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。