海や湖だけじゃない。浜松の山を味わうジビエ専門店「34DINER」はクセになる
「地元・浜松の人にも知ってもらいたい」。オーナーの山﨑浩さんがそう語るのは、浜松の春野町を中心に獲れる鹿や猪のお肉を使った「ジビエ料理」のこと。
わざわざ足を運びたくなるような、飲食街のメインエリアから国道を1本挟んだところにある「34DINER」は、浜松のジビエ料理をおいしく、そして身近に感じさせてくれるレストランバーです。
天然の鹿や猪を使った
アレンジ料理にビールが進む
人気の「前菜の盛り合わせ」をいただきます。「鹿肉の田舎風パテ」は、くるみの歯ごたえとイチヂクの風味が効いていて食べやすく、「猪肉のリエット」はネズの実の香りがアクセントになって、パンとの相性も抜群。なにより、どちらも思った以上にクセがなくて食べやすい!
「ウズラの卵の自家製カレー味ピクルス」も絶品。強いてあげるなら、猪のレバーに少しクセを感じたけど、牛や豚のレバーを食べられる人であればまったく問題ないレベル。
「ジビエ特有のクセも含めて味わってもらいたいんです」
と山﨑さんは言いますが、そもそもどの料理も食べやすい。
静岡駅前の醸造場「AOI BREWING」のクラフトビールをはじめ、ベルギー産やハワイ産のクラフトビールがこれまた料理に合うから、ついついお酒も進みます。
浜松の食材に惹かれ
東京からUターン
「東京にはいろいろな素材が集まるけれど、本当に良いものは探さなきゃいけない。だけど、浜松は山も海も近くて、“地のもの” がたくさんある。レストランをやるには本当にいい場所なんですよ」
浜松で生まれ育った山崎さんは東京のさまざまな飲食店で経験を積み、5年前に浜松にUターン。奥さんと2人で「34DINER」をオープンさせたそうです。
ちなみに「34」の読み方は「サン・シー」……つまり「太陽と海」で、「大地が産んだ自然の恵みを味わってもらいたい」という想いが込められているのだとか。
「オープン当初は牛肉なども扱っていましたが、ジビエに人気が集まったので次第にメニューが増えていって……今ではジビエ専門店になった、という感じですね(笑)」
今後はジビエ料理を軸にしつつも、
「海や畑の幸を積極的に取り入れて、ジビエに抵抗を感じている人にも気軽に来てもらって、その美味しさを知ってもらいたい」
と山崎さん。2017年の秋と2018年の春には浜松市・佐鳴台地区で開催された「天竜ジビエフェス」にも参加し、その普及に努めているそう。
「11月か12月にもやろう、と仲間うちで話し合っているところなんですよ」
「獣害」と
「命をいただく」ということ
狩猟によって命を落とした野生獣をただ埋設処分するのではなく、食肉として有効利用しようというのが、春野町にあるNPO法人「はるの山の楽校」が運営する解体加工施設「ジビエ工房ジミート」。
「34DINER」のジビエ肉はすべて、ここから仕入れているそうです。
ジミートでは講習会やワークショップなどを開催することもあり、山崎さんも積極的に参加。「命をいただくことの意味を、もっと身近に感じてもらいたい」と考えているそうです。“獣害”としてただ殺してしまうのではなく、責任を持って「いただきます!」と言う。これこそが本当の意味での地産地消。
「34DINER」が提供するおしゃれな料理からは、“命” に対する敬意も感じることができました。
ごちそうさまでした。
「34DINER」
住所:静岡県浜松市中区大工町311-18 第一ビル1F
TEL:053-452-5880
営業時間:18:00~翌2:00(LO 翌1:30)
定休日:日曜日
公式HP:https://34diner.owst.jp/