女性専用クラブ「ザ・ウィング」――ベンのトピックス
日本でも話題となった「#MeToo」のムーブメント。ショッキングな事例が次々と明らかになりましたが、問題はもっと根本的なところにあると考える女性たちも多い。例えば、能力はあるのに女性というだけで男性と同等な立場に立つ機会をもらえない事実、男性の社交クラブでは女性の話題を避けることすらある習慣などなど。
アメリカでは、この状況を打破するべく、東海岸・西海岸問わず多くの企業がアクションを起こしてきました。しかし、今のところもっとも成功しているのは、向上心の強い女性たちによって設立された「The Wing(ザ・ウィング)」だと思います。
ザ・ウィングは、2016年にオードリー・ゲルマンとローレン・カッサンによって設立された女性専用社交クラブ。19世紀後半から20世紀初頭にかけて盛んだった女性クラブ運動(ザ・ウィングのWEBサイトによると、この女性クラブは1930年代までにニューヨークで600以上、全米では5,000以上あったそうです)にインスピレーションを受けています。
ザ・ウィングは現在、ニューヨーク市内に「coven(コーヴェン)」と呼ばれる拠点を4ヶ所持っています。この女性専用のプライベート・スペースには、リラックスできるバーやレストランだけでなく、女性著者による書籍、Wi-Fi、充電ステーションを備えたワークスペースもあります。コワーキングスペースがイメージに近いかもしれません。
時期は未定ですが、ウエスト・ハリウッド、ロンドン、トロント、シアトル、シカゴにも拠点を構える予定だそうで、クラブは海を越えて、他の都市にもネットワークを広げていくステージに入っています。実際、入会希望のウェイティング・リストに登録された人数は1,000人を超えているそうです。
メンバーになると、どんなメリットがあるのか?
まずは、上記のスタイリッシュなプライベート・スペースを使えるようになること。そして、ザ・ウイングが発行する雑誌『NO MAN’S LAND』(ネーミングがいい!)やオンラインのニュースレターの購読などが挙げられます。
しかし、やはりもっとも魅力的なのは、同じ志を持った女性同士のコミュニティで活動できる点でしょう。
メンバーは一緒に朝食をとったり、ヨガをしたり、ゲストスピーカーを呼んで講演会を開いたりして楽しむことが可能です。ただスペースを共有するだけでなく、イベントがあることでコミュニティの結束は高まっていくはずです。
ちなみに初回のゲストは、ニューヨーク州選出のアメリカ合衆国上院議員、カーステン・ギリブランドだった。
彼女のようなポジションの人間がクラブに関わっているというのは、女性向け社交クラブの未来を示唆しているように思います。