とことんまで「ローカルした」ベトナムを喰らえ

南北に長いベトナムの旅の醍醐味といえば、南シナ海に沿って走る鉄道旅。フエ、ホイアン、ニャチャン、予定もなくふらっと降りてみると、フランスと中国と日本とベトナムが混在した、コロニアル様式の古い町並みが出迎えてくれます。

こうした田舎町の風景に同化するのが、円筒形のノンラー(ベトナム伝統の葉笠)を目深にかぶったバアちゃんたち。いわゆる露店主です。

リヤカーを引いてバインミーやフォーを売る姿は、ハノイでもホーチミンでも見かけるでしょう。けれど、もっとも“ローカルしてる”のが、「チェー」の露店。小さな椅子に腰掛け地元民に混じって食べるデザートです。

路上のソウルフード
ベトナム風ぜんざい

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©iStock.com/NguyenDucQuang

ベトナムを代表するこのローカルスイーツは、甘く煮たイモや豆をフルーツやタピオカなどと混ぜ合わせて食す甘味。スプーンでよくかき混ぜぐちゃぐちゃにしていただくと、口の中にもコロニアルが完成する、摩訶不思議なデザートです。温かいものもありますが、中部フエあたりまで下れば、クラッシュアイス入りの冷たいバージョンが止められない。

しかもこれ、主要都市のカフェや専門店ではなく、断然カントリーサイドで食べるべきもの。フランチャイズ店なんかによくある極彩色のタピオカやら、香料まみれの寒天は、単なる目くらましですから(キッパリ!)。バアちゃん(露店主)ごとの手づくりの味でないと。

バイクが巻き上げる砂埃もおいしさの要素……かどうかはわかりませんが、カラダにまとわりつくジメジメ湿気のなかで口にする甘ったるいチェーは、記憶とともに味蕾の奥の奥のほうにこびりついて離れませんよ。

初めてなのに覚える
“懐かしさ”の正体

南部の田舎町ニンホアでそのチェーに出会いました。

使い回しのジョッキグラス(ここ、気にしない)に甘く煮たタロイモ、緑豆、あずき、白玉をクラッシュアイスとともに入れて、最後に白濁した液体を注ぎ入れる。これが練乳だと甘すぎて、もうどうしようもないくらいしつこいはず。でも、チェーはココナッツミルク。

さらに言えば、氷の溶けるペースが結構早くて(ポジティブね)、食べ進むうちにちょうどいい甘さに落ち着く。くどさはあるがしつこくない。ひなびたホッとする味になるんですよね。

異国の炎天下、初めて口にするその味に説明のつかない“懐かしさ”を覚えるのは、どこかで日本の「ぜんざい」と重なり合うものを感じるからかもしれない。「シュガーフリー」「甘さ控えめ」スイーツ全盛の日本、この甘ったるさが恋しくなるときもあるでしょ。

もったりタロイモを
里芋の蜜煮で再現

ところで、考えてみればほとんどの食材は日本のスーパーで入手可能。唯一、手に入らなそうなタロイモを再現してみました。火を通すことで、もったり食感が生まれる里芋。煮っころがしの要領で、コトコト砂糖で煮詰めれば、それらしい味わいに。

再現料理:チェー
再現食材:里芋
再現度:★★★☆☆

Top image: © ndquang/Shutterstock.com, 2018 TABI LABO

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