廃業を覚悟した静岡・熱海の建具屋を復活させた一つ二役のウッドプレート「face two face」
静岡県熱海市の建具屋、西島木工所で作られている「face two face」は、片面はウッドプレート、もう片面はまな板として使える便利アイテムです。
2014年に「星野リゾート リゾナーレ熱海」で採用されたことをきっかけに、知名度を上げていきました。こだわりは、まな板に最適と言われている「吉野ヒノキ」を使っていること。水はけの良さや高い抗菌、抗カビ作用が特徴です。
まっすぐ切る技術で作る
「ウッドプレート」
1947年の創業以来、障子などの建具を製造していた西島木工所の年商は、ピーク時の4分の1まで減少していました。新しい収入源として作り始めた木工雑貨は鳴かず飛ばず。そこで、日本各地のものづくりを行う企業の商品企画から流通までをサポートする「セメントプロデュースデザイン」に相談することに。
廃業寸前の状況を抜け出すためには、新しい商品開発が必要という話になったものの、資金不足のため新しく設備投資を行う余裕はありません。1年半に及ぶ試行錯誤を経て、ほとんど使われていなかったレーザー彫刻機と木材をまっすぐ切ることに長けた建具屋の技術を掛け合わせて「face two face」が完成したのです。2014年のことでした。
ギフトショーで有名に
本業の売り上げ回復
しかし、セメントプロデュースデザインが期待していたほど価格は下がりませんでした。それでも「どうしても発売したい」という西島木工所の思いから、売れなかった場合のリスクを減らすために少量生産で展示会に臨むことに。
そして、2014年のギフトショーでは、両面使いできるところやレーザー彫刻で入れたデザインを活かして、簡単におしゃれな盛り付けができるという新しい切り口が話題になりました。それをきっかけに、星野リゾートでの採用やメディアに取り上げられることが増加。徐々に、認知されていきました。
さらには、「face two face」を通して西島木工所の技術が見える化したことによって、商品を手に取った業者から本業の仕事依頼も増加したのです。発売から4年たった2018年現在、約700個の売り上げ以上に本業が復活したことによって廃業寸前の状態から回復に向かっています。
「face two face」は、Lサイズで1万800円(税抜)、Sサイズで6800円(税抜)。オンラインショップ「コトモノミチ」で購入可能です。