「コインローファー」のベルトに「穴」が開いている理由
くるぶし丈のパンツ&素足にはいたローファーの組み合わせは、これからの季節にぴったりの爽やかコーディネートの代表格。
“房飾り”のついた「タッセルローファー」や馬具をモチーフにした金具が目を引く「ビットローファー」など、ひとくちにローファーといっても様々なタイプがあるのですが、なかでももっとも定番の人気を誇るのが「コインローファー」や「ペニーローファー」と呼ばれるタイプです。
甲の部分に補強用のベルト(サドル)が配されており、そこに「穴」が開いているのがデザインの特徴なのですが、じつはこの「穴」こそが「コインローファー」や「ペニーローファー」と名付けられた所以(ゆえん)なんです──。
アメリカには「Lucky Penny(ラッキーペニー)」といって、道端に落ちている1セント硬貨……それも、第16代大統領エイブラハム・リンカーンの肖像が描かれている面が上を向いて落ちている状態で拾うと幸せになれるという言い伝えが存在します。
1950年代、当時は単に「ローファー」と呼ばれていた革靴でしたが、アメリカのファッションやカルチャーを牽引していたアイビーリーガー(東部を代表する8校の有名私立大学に通う大学生)たちが、ラッキーペニーを拾ったときにサドルの穴にそれを挟み込んでお守り代わりにしたことでその行為が若者の間で流行し、いつしか「コインローファー」と呼ばれるようになったのだとか。
「硬貨を見つけたら、靴についた汚れなどを落とすふりをして、しゃがんだ体勢のまま穴にコインを隠せるから」なんて邪推&珍説もありますが、当時のアイビーリーガーたちはみな上流階級の子弟であり、そもそもローファーの穴にペニー硬貨を挟み込むのは結構大変。
現代でもアメリカで1セント硬貨を拾うとまわりの人から「ラッキーだね!」といわれるくらいポピュラーな言い伝えなので、きっと着服するための小細工などではなく、シャレの効いたおまじないの類だったと思われます。
日本でも、トラッドなファッションを上手に着こなしている年配の方の足元をよくみると、ローファーにラッキーペニーを挟んでいるのを見かけることがあります。
あなたも仕事用のローファーにコインを入れておけば、それに気づいた取引先の偉い人から「おっ、よく知ってるね!」なんて声をかけられて“ラッキー”が舞い込むかもしれませんよ?
※上記、諸説あり。