「瞑想ってなんですか?」
はじめまして、ニーマル・ラージ・ギャワリです。
私はネパール出身です。9歳でヨガをはじめて、15歳からは指導もしています。ハタヨガや自然療法を体系的に学び、博士号も取りました。2003年に日本にきてからは、主に白金のスタジオでヨガやアーユルヴェーダ、そして瞑想(メディテーション)の振興に努めています。
ここ10年でヨガは一般的になりましたが、最近は瞑想が注目されていますね。
欧米でも、日本でも、多くの方々が瞑想を生活に取り入れていることはみなさんご存知だと思います。
ただ、まだまだ瞑想に対して間違ったイメージを持っている方も多いようです。この連載ではまず「瞑想ってなんですか?」というシンプルな疑問について書きたいと思います。
みなさんは、どうして瞑想を特別なものと考えるんでしょうか?
瞑想という言葉にはたくさんの定義があります。
穏やかさ、マインドの平穏、いま現在に集中すること、自らの意識を高めたり、気づきを得ること――こういった状態やそれを達成するテクニックの総称が“瞑想”です。
ここまでは、たいていの方がなんとなく理解していると思います。
では、瞑想は誰がやるものなのか?と言うと、なぜかヨガの修行をした人や偉いお坊さんがだけが行う、とても難しいもの、自分とは関係ないもの、と考える方が多いようです。
そんなことはありません。瞑想は特別なものではありません。
なぜかと言うと、私たちは誰もが子どもの頃、瞑想をしていたんです。これはアーユルヴェーダの考え方です。
生まれる前、お母さんのお腹の中にいた時、私たちが何をしていたのかというと、瞑想をしていたんです。生まれた後も、人間はだいたい4歳ぐらいまでは瞑想をしている時間が多いんです。
人間は五感を持って生まれてきますが、五感をひらくには時間がかかるんです。例えば、赤ちゃんは最初から大人のように全部が見えているわけではありませんよね。生後何ヶ月かしてからちゃんと見えるようになってきます。耳も同じです。
人間というのはどんどん年をとるうちに、経験を重ねていくことで五感が外に向いてくるんです。遠くのものが見えてきたり、遠くの音が聞こえてきたり。外にひらかれていくんです。それまでは、人間は自分のマインドや意識と呼ばれる、内側にあるものに向いているんです。それは、瞑想です。
だから、瞑想っていうのは、ヨガや宗教のためだけにあるんじゃないんです。私たち誰もがやっていること、やっていたことなんです。特別なことじゃない、当たり前のことなんです。