「彼氏とケンカしてイラッ!上司が無能でイラッ!もう嫌……」そんな悩みにおすすめの、漢方の飲み方がある——鎌倉の薬局三代目・杉本格朗
「若い」といえど、私たちはみんな多かれ少なかれ、「不調」を抱えながら生きているはず。それが、病名がつかないくらいのなんとなくであればあるほど、ほったらかしになったり、相談しても誰もベストな解決法をくれなかったり。
ミレニアルズのそのお悩み、もしかしたら「漢方」が救えるかもしれません。体の不調だけでなく、うっすら気づいているのに知らんふりしている「心」の不調だって、もしかしたら……。
第四回目のお悩みは、「イライラ、クヨクヨ」。
アドバイザーは、世代を越え、漢方を広めている神奈川県鎌倉市大船の「杉本薬局」三代目、杉本格朗さん。
でも、誰かに効いた漢方が、万人に効くとは言えません。大前提として、人によって「どんな漢方が合うか」は違うから、まずは漢方薬局などで相談するのがベター。その前提の上で、「こんな解決策の一例もあるよ」といったような形で紹介したいと思います。
「彼氏や上司とケンカした」
おすすめ漢方は?
若者は血の気が多く、何かと人間関係での衝突があります。そのほかにも、女子であれば生理前にイライラしたり、落ち込んだりということもあります。
杉本さんは以前、「イラッとするメールを読んだ時に、気分を落ち着かせる漢方を飲むこともある」と話していましたが、そのように、「気分の上下」をなだらかにできるようなおすすめ漢方の使い方はありますか?
「血」の状態を整えるものを。
動物生薬との組み合わせも◎
【杉本さんのおすすめ】
「漢方」と聞いて、女性やお年寄りが飲んでいるイメージを持つ方は多いと思います。実際に、薬局でも女性やお年寄りの割合は大きいと思います。その理由の一つに、婦人科のお悩みを持つ方が多いということはあると思います。
それから、イライラする、ケンカした、上司や部下、家族に腹を立てるといった方々もやはりいらっしゃいます。ストレス社会と一言で言ってしまうのは少し雑な気がしますが、たしかにニュースを見ていてもそういった記事が目立ちますし、自然の摂理、流れからずれてしまう生活になりがちです。
僕は漢方薬に、バランスを崩した体を自然の状態に戻す役割があると思っています。漢方の理論や素材はほとんどが、自然の摂理に沿って体系化されたものだからです。
今ではだいぶ落ち着いていますが、僕もいろいろと物事が上手くいかない時期に、イライラしたり、落ち込んだり、感情のコントロールが難しい時がありました。一日中、漢方薬を飲んでいた記憶があります。今思えば、自分の体で実験していたような感じですね。それと同時にその時期は、友達とお酒を飲みながら喋ったり、ひたすら運動したり、不快になる原因からなるべく離れることを心がけていました。
イライラした時に飲む漢方薬として、有名なのは「抑肝散」です。子どもにもよく使う漢方薬なので、聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。このイライラが、月経不順、月経痛や更年期などと重なると、「逍遥散」や「加味逍遥散」、「女神散」など、「血」の状態を整える効果のある漢方薬を選びます。
ちなみに、「逍遥」とは、“気分転換にぶらぶら歩く”という意味です。いかにも効きそうですよね。もちろん、婦人科でよく使われる漢方薬でも、男性に適応する場合もあります。また、「麝香」や「羚羊角」、「牛黄」といった動物生薬と合わせて服用するとより効果的。こういったストレスを緩和するような漢方薬の場合、頓服で効果を実感できるものもあるので、お守り代わりに持っておくこともできます。イライラしてしまったり、思い悩んだ時に、パッと服用できるように、カバンやポケットに入れておくと便利ですよ。
僕は、漢方薬だけでなく、カウンセラー、メンタルトレーナーと呼ばれる方に定期的に話を聞いてもらうことで、日々、自分のメンテナンスをしています。今ではトレーナーさんとも、本当にたわいもない会話をすることが多いですが、荒れていた当時は気に入らないことがたくさんあった気がします(今でもたまにはあります……)。
家族でも友人・知人でもない方に身の上話をする時間が、僕にとってはいい時間になっています。
(※不眠、イライラなどの精神症状に使う漢方薬は重なるものが多いの