薄っぺらいフェミニスト批判! 男女平等について考えさせられる『イライザ・シュレシンガーのベール反対!』
Netflixのスタンドアップコメディコンテンツは世界中で注目の的だ。どんどんと新作が公開され、多くのヒット作が生まれている。
とはいえ、まだ日本には何を観るべきか?という情報は少ない。
そこで、日本語でもスタンドアップコメディを行っているグループ「おコメディ焼き」代表のBJ Foxさんに、おすすめのコンテンツを紹介してもらった。
今回はイライザ・シュレシンガーを紹介します。
まずはアメリカのスタンドアップ界の説明から。大阪と東京にお笑いの派閥があるように、アメリカではロサンゼルス派とニューヨーク派に分かれています。
で、彼女は、西側で一番有名な「ザ・コメディ・ストア」というコメディクラブの出身。ここではみんな、コメディのためにコメディをやっている。有名にならなくてもいい、とさえ思っているんです。
そんなカルチャーで育ってきたから、彼女からはタフさを感じられます。「ザ・コメディ・ストア」が男性社会だからということも影響しているかもしれません。
自分のことをフェミニストだと言っていて、本気で男女平等を実現しようとして、ネタを考えているそうです。
あと、日本が好きで、去年は新宿でスタンドアップをやっていましたよ。
Netflixでは、彼女の作品は4つ公開されていて、『イライザ・シュレシンガーの私は長老ミレニアル』もおすすめだけど、ベストなのは『イライザ・シュレシンガーのベール反対!』です。
タイトルの「ベール反対」は、結婚式で被らなければいけないベールのことで、昔ながらの習慣に反対する意味が込められています。
あと、英語では「unveiled」なんですが、これは秘密を明らかにすると訳すことができます。背景にあるのは、“今のフェミニスト”批判。表面的なことだけじゃなくて、本当の自分を出していこうと訴えているんです。
だから、1時間の話の中でも“今のフェミニズム”批判をしています。なぜなら、よく自分が批判の対象になるから(笑)。
ただ、ヘンなことをいう人は女性が多いらしく、彼女は「なんで女性同士で戦わなければいけないの?」や「私たちの敵は差別や不平等じゃないの?」と言っています。しかも、今のフェミニストはみんなが同じ意見を持っていなければいけないと勘違いしているとか、違う意見を受け入れられないとか、そんなことも言っています。かなり辛口ですよね?
その他は、自分が結婚した時の話。式を準備する大変さや結婚後の生活の変化をネタにしていて、このパートは何も考えずに楽しむことができます。
最近、僕も結婚したんですけど、本当に共感できることばかり。だから、結婚した人は絶対に「そうだよね!」や「分かる!」と思うはずです。
前に紹介したビル・バーとは違うスタンスだけど、基本的には男女平等の実現に向けた運動がある意味を問いかけています。ここに注目です。
彼女のスキルはかなり高いので、こうして説明すると重く感じてしまうこともしっかりと笑いに変えてくれます。それでいて、考えさせる内容になっているから素晴らしい。
本当に日本人の方に観てほしいですね。僕は彼女こそが本当のフェミニストだと思っているから。
Netflixで新作が公開されることも決まっているので、これからも注目の的になるだろうコメディアンです。
イギリス、シンガポールなど東南アジア諸国で英語のコメディアンとしての経験を身につけ、ブラックユーモア満載のブリティッシュスタイルを貫くスタンダップコメディアン。2015年に日本に転勤して以来、日本語での活動も開始。コメディの他に、MC、俳優そして映像ディレクター業でも多忙な日々を送っている。
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