アメリカ大統領になるべきはアジア系? ネタの視点が斬新な『ロニー・チェンのアメリカをぶっ壊す!』
Netflixのスタンドアップコメディコンテンツは世界中で注目の的だ。どんどんと新作が公開され、多くのヒット作が生まれている。
とはいえ、まだ日本には何を観るべきか?という情報は少ない。
そこで、日本語でもスタンドアップコメディを行っているグループ「おコメディ焼き」代表のBJ Foxさんに、おすすめのコンテンツを紹介してもらった。
今回はロニー・チェンの紹介です。
彼は違う時に紹介したトレバー・ノアと一緒で、『ザ・デイリー・ショー』というニュース番組に出ています。そのおかげもあり、アメリカでは人気者になりました。
映画『クレイジー・リッチ!』にも出演しているので、顔を見たら分かる人もいるかもしれませんね。
マレーシア出身というのもポイント。中学高校時代はシンガポールで育っていて、東南アジアの視点がネタに入るのが新鮮です。
ちなみに、僕がスタンドアップを始めたのはシンガポールなので、ちょっとした繋がりも感じています。じつはシンガポールではスタンドアップが人気なんですよ。知ってましたか?
で、アメリカでネタを披露する時は、外国人目線で気になるところを主に話しています。
Netflixでのおすすめは『ロニー・チェンのアメリカをぶっ壊す!』です。……と言っても、まだ彼の作品はひとつしかないんですけどね。
でも、これがNetflixのいいところ。実力のある人をフィーチャーしています。
タイトルは英語の方がベター。「Asian Comedian Destroys America」となっていて、訳せば「アジア系コメディアンがアメリカを壊す」。ちゃんとアジア系ということがフォーカスされているんですね。その視点こそが作品の特徴です。
例えば、アメリカの大統領になる人はアジア系がいいと言っています。答え、分かりますか?
彼が話していたのは、働くという点においてアジア系に勝てる人はいない、と。「サンクスギビングデーでもクリスマスでも、僕たちは関係ない。休みなしで絶対に働くよ」って続けていて、非常にうまいなと思いました。
あと、レイシズムの話になっても、アメリカにおいては黒人と白人だけしか問題は起きてない。アジア系なら話題にも上がらないから、大統領にピッタリだと言うんです。
本当はもっとあるんですけど、“紹介のしすぎ”になってしまうので一旦やめておきます(笑)。
タイトルを考えると少し差別的なのかな?と感じるかもしれませんが、そんなことはありません。最後には、アメリカでは誰もが自由に発言できる点を褒めているんです。これも東南アジアにルーツがある彼ならではの視点ですよね。
気にかけてほしいのは、彼がネタの途中で第二次世界大戦の頃の日本を少しだけ批判をするところです。
日本以外のアジアの国々が、どのように日本を思っているのかを知るという意味では勉強になりますよ。
僕の国、イギリスもヨーロッパの国々から嫌われています(苦笑)。そういうことを知っているのと知っていないのは大きな差があるので、事実として理解しておくといいかもしれません。気にしすぎる必要もないし。
ネタを通して、いろんな考え方に触れられることもあるのがスタンドアップコメディです。
頭の隅にこんな情報を置いて、観てみてください。
イギリス、シンガポールなど東南アジア諸国で英語のコメディアンとしての経験を身につけ、ブラックユーモア満載のブリティッシュスタイルを貫くスタンダップコメディアン。2015年に日本に転勤して以来、日本語での活動も開始。コメディの他に、MC、俳優そして映像ディレクター業でも多忙な日々を送っている。
YouTubeはコチラから。