フランス人に「それも人生さ!」と励まされるコメディー映画

個人主義で、自己主張があり、自由恋愛の国。フランスを形容する言葉は数あれど、やはり”愛の国”だと感じさせる映画が誕生した。

本国をはじめ世界中で大ヒットとなった映画『セラヴィ!C’est la vie!』がおもしろい。

「個」が立っている社会って
こういうこと

物語の舞台は、古城のウエディングパーティー。ヤングセレブな新郎新婦からパーティーを任されたベテランのウェディングプランナー、マックスが主人公だ。

マックスの仕事仲間は実に個性的。主張を恐れず、欲に素直で、チームも大切だけど自己犠牲なんてありえない。契約関係やルールの多い職場であっても隠しきれない個性はあちこちで炸裂し、パーティーは次々にハプニングに見舞われてしまう。

©2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE
©2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

しかしこの映画が単なるドタバタコメディーで終わらないのは、悩みながらも仲間を愛するマックスにチームワークの本質を感じること。そして、豊かな個性の登場人物たちが愛おしいまでに人間的だからだ。

映画を観るときに主人公の心境に自分を重ねる人は多いと思うが、もしも自分がマックスだったら、果たしてここまで個性豊かな人たちを“仲間”として愛し続けていられるだろうか?

職場の同僚や、家族、友人など、人間関係に少なからず疲れ気味の人にこそ、マックスの気持ちになって観ることをオススメしたい。

「人生」という
自分がドラマの主人公たれ

©2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

また同作では、可能なかぎりウェディングの予算を抑えたい近年の業界傾向や、移民問題を背景とした外国人労働者のこと、さらにデジタルテクノロジーにおける世代間ギャップなど、さまざまな社会課題をユーモアに包みながらも指摘している。

それでも決して強すぎることのない主張がメッセージとして伝わるのは、制作・俳優ともに実力派が揃っているからこそであろう。

マックスの義弟で元国語教師のジュリアンがたびたび、文学的でエスプリの効いたセリフを放つのも、“フランスっぽさ”をうまく表現している。くすっと笑いを誘うセリフの言葉遊びは、日本語字幕を通してでも十分楽しむことができる。

ちなみに邦題に使われている「セラヴィ!」とは、良きときも悩めるときも「それもまた人生さ!」と明るくやり過ごすときに使う定番の仏語フレーズ。どんな困難にも大きな心で向き合うマックスから、明日を楽しく過ごすコツを学ぼう。

自由と個性と愛とユーモア。明るい人生のヒントがここにある。

セラヴィ!/C'est la vie!

2018年7月6日(金)より、渋谷・シネクイント、新宿シネマカリテ、池袋HUMAXシネマズほか全国ロードショー。公式サイトはこちら

Top image: © 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE
Licensed material used with permission by パルコ
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。