じつは間違ってない? 正しいフェミニズムを理解できる『ビル・バーのただのコケおどし!』
Netflixのスタンドアップコメディコンテンツは世界中で注目の的だ。どんどんと新作が公開され、多くのヒット作が生まれている。
とはいえ、まだ日本には何を観るべきか?という情報は少ない。
そこで、日本語でもスタンドアップコメディを行っているグループ「おコメディ焼き」代表のBJ Foxさんに、おすすめのコンテンツを紹介してもらった。
今回はビル・バーについて紹介しようと思います。
彼はルイ・C・K(みんな、知ってるかな?)と同じくらいのベテランで、25年以上もスタンドアップコメディをやっています。
アメリカのドラマ『ブレイキング・バッド』や『スター・ウォーズ』の実写ドラマ『マンダロリアン』にも出演しています。世界で一番有名だと言われているPodcast『Monday Morning Podcast』のホストもやっていて、いろんなところで活躍中。スタンドアップ業界では、本当に尊敬されていますよ。
ビル・バーの特徴は辛口なところ。天邪鬼で、みんながやっていることをネタにするんです。短気なおじいちゃんみたいなんだけど、ロジックはしっかりとしています。
でも、平気で「どうして、そんなにアホなの?」とかも言っちゃいます(笑)。
Netflixでのおすすめは『ビル・バーのただのコケおどし!』。
ちなみに、英語では「Paper Tiger」という名前になっているんですけど、これは見た目ほど強くないって意味(“コケおどし”は知りませんが、たぶん同じ意味ですよね?)。
象徴的なのは、今のフェミニストはソーシャルメディアで正義感を持って、ダメ出しをしているけど、そういう人たちは中身がないと言っていることです。まともに議論ができないなんてことも(笑)。
ビル・バーは「なんの目的でフェミニズムを広めようとしているのか?」「どういう変化を求めているのか?」もしくは「自分の知名度をあげるためにやっているのか?」「ただ批判しているだけなのか?」と問いかけています。
そして、すぐに炎上をさせようとする人は間違っていると、はっきり言います。宣戦布告みたいな感じで。
批判されたフェミニストはどんな考えを持っていても、きっと彼のロジックを壊せないでしょうね。「おっしゃってることは正しいんだけど……」となって、何も言い返せなくて、最終的に納得してしまうはずです。
あと、彼の結婚生活を通して、男女の違いをネタにしているのも特徴ですね。
注目は「#MeToo」運動も批判するところ。
前のインタビューで、僕は「アメリカのスタンドアップコメディは社会問題を取り上げているけど、今後は変わっていく」と言いました。
これがいい例です。
「#MeToo」運動みたいな社会問題に対するムーブメントを当たり前に語り、その上でおかしいところ、ヘンなところをネタにしている。それで笑いをとるってことは、欧米人がすでに彼と同じようなことを思っている証拠です。
そんなところに気にしながら観てみてください。
イギリス、シンガポールなど東南アジア諸国で英語のコメディアンとしての経験を身につけ、ブラックユーモア満載のブリティッシュスタイルを貫くスタンダップコメディアン。2015年に日本に転勤して以来、日本語での活動も開始。コメディの他に、MC、俳優そして映像ディレクター業でも多忙な日々を送っている。
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