伊『Vogue』が真っ白な表紙に込めた想い
新型コロナウイルスが猛威を振るうなかで、現時点でアメリカに次いで2番目に死者数が多く、被害の大きいイタリア。
約1ヵ月にわたるロックダウンの延長など終息の兆しが見えないなかで、世界的ファッション雑誌『Vogue』のイタリア版は“真っ白な表紙”の4月号を発表した。異例となる老舗雑誌の決断に注目が集まっている。
© efarneti/Instagram
写真やイラストなど何も印刷されず、タイトルまで白く変更されたこの表紙はもちろんVogue史上初。これは決してロックダウンの影響によって写真撮影ができなかったわけでなく、ある意図を込めたものだという。
編集長であるエマニュエレ・ファルネティ氏はInstagramでこう語っている。
『Vogue』は100年にわたる歴史のなかで、
戦争、危機、テロ行為を経験してきました。
私たちがこの表紙を選んだのは、
白は多くのことを意味するからです。
白は、敬意の色。
白は、生まれ変わりの色。
暗い闇に差し込む光。すべての色の集約。
白は、私たちの命を守るため最前線で
戦う人たちのユニフォーム。
白は、降伏の色ではない。
このページは“新しい物語の表紙”が
書き込まれることを待っている。
また本誌には、40人以上のフォトグラファーやアーティストが作品を寄贈。さらにミウッチャ・プラダやアレッサンドロ・ミケーレなどのデザイナーはオリジナルスケッチを寄稿しているという。
デジタル版はフリーでダウンロードすることが可能。“写真を使用しない号”など、強いこだわりを持って雑誌を作り続ける同誌の“歴史的な一冊”を是非チェックしてみてほしい。
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