「日系アメリカ人」が日本に引っ越して気づいた4つのこと

Lindsay Arakawa(荒川リンジー)

ハワイ出身の荒川リンジーです。以前はNYCに住んでRefinery29でSNSストラテジストとして働いてました。現在は東京に住み、SNSストラテジストとして働き、またアーティストとして創作活動をしています。犬が大好き。最近覚えた日本語は『ほんやくこんにゃく』。Instagram:@blindsaay

海外に引っ越すという決断は、今まで生きてきたなかでもっとも難しいことだった。

サンフランシスコやニューヨークに引っ越したことはあったけれど、アメリカの外で暮らしたことは一度もなかった。

そんな私が日本で暮らしはじめて一年半。渋谷で友人と待ち合わせするようにもなったし、車両の色で路線も覚えた。確定申告だって。本当にいろんなことを経験した。

実際の日本での暮らしは、私の想像とはまったく異なっていた。想像していたより良かったこともあるし、逆に苦労したこともある。

01.
もっと多くの人が英語を話せると思っていた

©Lindsay Arakawa

母国では何の困難もなくできることが、海外生活では一番のストレスになったりする。

アメリカで大人としての常識を身につけるのに苦労したけど、日本に来たら、税金の納め方とか、全く違う規則や制度に適応しなくちゃいけない。そうしないと生活ができない。

外国人の友人にメールで相談しまくるような行為に出なければ、日本での最初の数カ月を乗り切ることは難しかったと思う。区役所から送られてきた、15,294種の漢字を使った手紙に対応することもできなかったはず。

また、私は東京ではもっとたくさんの人が英語を話せるのだろうと思っていた。私が一方的にそう思いこんでいたことは否めないが、英語表記が街中にあふれているし、国際都市でもあるから、話せる人も多いだろうと思っていた。

でも、実際には流暢な英語を話せる人はそんなに多くないのだということを痛感している。

02.
大好きなベーコンがまったくの別物

アメリカ育ちの私は、ベーコンを朝食の主食のように感じている。

子どもの頃のお気に入りのサンドイッチは、ベーコン・レタス・トマト・サンドイッチ。訪れた先では、必ずその土地のベーコンを食べてきた。

イギリスでは、ベーコンは厚みのあるハムって思われているらしいけど、日本ではどうなんだろう?確かなのは、アメリカとは扱われ方が違うということかな?私にとっては、メチャクチャ美味しくて、とにかくパーフェクト!

日本には日本のベーコンがあるだろうなあとは思うし、アメリカとは使ってる豚肉の種類が違うのかもしれない。とにかく、私が慣れ親しんできたベーコンと違うのは確か。

03.
私の外見が目立つのは日本もアメリカも同じ
でも、目立ち方が違う

©Lindsay Arakawa

そんなに気にしているわけではないけれど、髪の色が派手だからか、電車に乗ってるとジロジロ見られる。

日本で暮らして一年半。いまだに周りからの突き刺さるような視線がキツイと感じる。そのキツイ目線について考えてみると、アメリカとの違いも見えてきてとても面白い。

アメリカでは、「常識にとらわれずに考えろ」と言われる。特にニューヨークのような場所では、人と違うことは基本的には良いこと、賞賛されるべきことだ。

一方、日本では、他人からの目線を浴びせられる理由が分からなくて、辛くなってしまうことがある。

日本でアメリカ人(あるいは外国人)として暮らしていると、「ガイジンだから」という理由で、私のタトゥーについても「大目に見よう」と思ってくれている人たちがいることも知っている。

でも、東京で日々暮らしていくなかで、「世間とは違う異質の存在」というふうにいつも思われて、見た目が理由で「アウトサイダー」として扱われるのは、やっぱり辛い。私が東京の社会に身も心も溶け込める日はくるのかな?

04.
自分と同じ興味や関心を持つ人と
出会うのが難しい

©Lindsay Arakawa

私の一番の課題は、言葉を流暢に話せないこと。

二番目に大きな課題は、日本の文化や、日本で育った人たちの考え方を、十分に理解できていないことだと思う。

このふたつの課題が原因で、日本での生活に適応していこうとするなかで、小さなギャップや疑問にいつもぶつかっている。

アメリカでは、友人と政治や社会問題について話すのは日常的なことだった。私が大切にしてきた時間だったし、楽しんできたことだった。

そうした会話は、時には疲れるしストレスを感じることもあるけれど、社会をより良くするために自分たちに何ができるのかを考えるきっかけが持てる、とても有意義な時間だった。

日本には無いと言いたいわけではないのだけれど、私の日本語力が不十分なことや、日本に来てまだ日が浅いこともあって、社会に対して感じている危機感などについて、日本のミレニアル世代と話をする機会を持てていない。

そのうち、日本で私と同じような社会的関心や、危機感を共有している人たちとつながりを持つことができたらいいなと思っている。時間はかかるだろうし、忍耐力も気力も要ることだろうけれど、私がいま暮らしているこの社会に貢献することは、私にとってはとても大切なことなんだ。

海外への引っ越しは、私が新たな挑戦をする機会を与えてくれたし、私の世界を広げてくれた。この経験を通じて、人として大きく成長することができた。

今回書いた私の思いや経験は、私の日本生活の最初の一年間を通じて培ってきたもの。

日本語が上手になって、日本文化について学んだら、私の日本生活がどう変わるのかがとても楽しみ!日本でいまこうして暮らすことができている私は、とても恵まれていると思っている。

Top image: © Lindsay Arakawa
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。