サイボーグアーティスト「Moon Ribas」インタビュー【vol.3】

ムーン・リバス——。

バルセロナに拠点を置くアーティストで、「Cyborg Foundation」の共同創業者でもある彼女は、世界初のサイボーグ女性として知られている人物。イーロン・マスクの「ニューラリンク」が話題になったように、人体にセンサーやチップを埋め込む未来は現実になりつつあります。

前回の記事では、彼女のサイボーグ体験談について触れましたが、今回は彼女が考える私たちの未来、そしてテクノロジーと人間のあり方について考えていきたいと思います。

©Carlos Montilla, Set director Rebeca Sueiro

──あなたのアートは、私たち人間の可能性を見せてくれているように感じます。社会や人間の未来をどのように想像していますか?

 

私はふたつの異なる未来を想像しています。

ひとつは今のまま、同じダイナミックさで、より技術的な社会、より多様な社会など現在のあり方が拡張していく未来です。

そして、もうひとつはまったく逆で、より多くの人が土地を耕し、ほとんど飛行機に乗らない過去のような未来です。これは、コロナの影響で特定のエリアで長く過ごすようになり、生活習慣が変わった人も多いからです。

 

──たしかに多くの人が郊外に移住したり、生活習慣もガラッと変わりました。今注目しているテクノロジーはありますか?

 

テクノロジーを搭載した服や、より持続可能な技術、3Dマシン、ドローンなどさまざまなテクノロジーに関心があります。最近発表した「Seismic Garment」という作品では、ソフトロボティックスの技術を使い、感振センサー搭載の服を作りました。地球上のどこかで地面の揺れが感知されるたび、服を通じて感じることができます。

 

──何か新しい技術を発明してみたいとは思いますか?

 

廃棄物やプラスチックから、新しいものを生み出す技術が必要だと思います。もっともっと、私たちが地球に与えるインパクトを軽減しなければなりません。

 

──最後にこの記事を読んでいる読者にメッセージをお願いします。

 

未来を考える際に、SFのような世界やテクノロジーだけで考える必要はありません。ほかの種族や動物の生き方、地球の仕組みなどから多くのインスピレーションを得て創造することができるからです。

また、テクノロジーをどのように使うかを決めるのは私たち自身です。

現実から遠ざかるために使うことも、現実につながってゆくために使うこともできるのですよ。

©Jose Arranz
©Michael Sharkey

ムーン・リバスさんへのインタビューを通してわかったのは、未来がどうなるかではなく、どういった未来を私たちが望むのか、そして私たちがテクノロジーをどう使うかが重要であるということです。

現代の生活で地球の息吹を感じることは、日に日に難しくなっています。しかし、感じないからといって、存在しないわけではありません。

四季に恵まれ、自然との対話を重んじてきた日本だからこそ、テクノロジーと自然のあり方に大きく貢献できる可能性があるのではないでしょうか。

Top image: © Eloi Guri
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。