サイボーグアーティスト「Moon Ribas」インタビュー【vol.2】

ムーン・リバス——。

バルセロナに拠点を置くアーティストで、「Cyborg Foundation」の共同創業者でもある彼女は、世界初のサイボーグ女性として知られている人物。テクノロジーを自身の肉体に取り込むことで、人間の感覚の拡張を積極的に広めています。

前回の記事では、彼女のアーティストとしての活動やその理念に触れましたが、今回は、実際にサイボーグとなった体験について、そしてサイボーグアーティストとして「今、何を考えているのか?」について迫りたいと思います。

©Lars Norgaard

──なぜ、体にセンサーを入れようと思ったのですか?

 

一番の理由は、自分の感覚では感知できないものも、テクノロジーを使えば感知できることに気づき、魅了されたからです。このアイデアは私の幼なじみであり、人生の大部分を共にしてきたニール・ハービソンから始まりました。

彼は生まれつきの色盲で色を感じることができません。そこで彼は頭にアンテナ状のセンサーを直接埋め込み、センサーが感知した色を振動に変えることで色を感じることができるようになりました。

そんな彼の影響を受け、より深い方法で動きを知覚する実験を始めたのです。

 

──サイボーグとして生活してみて、どうでしたか?

 

これは非常に実験的な体験でした。

少なくとも私にとっては、実験をしながら自分の感覚をいかに進化させるかを考えていました。このテーマは驚くほど深く、地球が動いていることを知っているのと、常に感じているのとではまったく違います。徐々に地球の振動を自分の体の鼓動のように感じられるようになるのです。

この体験は地球についての私の認識を大きく変え、同時に人間についての認識も変わりました。私たちは自分たちが住んでいる地球についてほとんど知らないことに驚き、地球という惑星で生きることを学んでいないように思えました。

 

──今後はもっとセンサーを増やしたい?

 

昨年に、約7年を共にしたセンサーを取り外しました。サイボーグになった当時は新しい体験、刺激的な体験がとにかくしたかった。

今は「水」に強い関心を持っています。

私たちの地球のほとんどが水である一方、私たちは水の世界をほとんど知らない。これまでずっと陸地にいたので、今後は水の世界を探求してみたいんです。昨年の夏にボートやヨットの運転免許を取ったので、少しずつ海のことを学んでいきたいと思っています。

 

──たしかに水は身近な存在であるが故にあまり意識することはありませんね。もし、自分の体にどんなテクノロジーでも導入できるとしたら、何をしますか?

 

いろいろなイメージが浮かんできますが、やはり今は「水中で問題なく呼吸ができるもの」でしょうか。

©Innovus Riga
©Eloi Guri

ムーン・リバスさんは、テクノロジーの進歩によって私たちが失ってしまった自然や地球とのつながりを、テクノロジーによって取り戻すという可能性を示してくれています。

次回は、そんな彼女が考える未来の社会について迫りたいと思います。

次回は5月1日19:00公開!

Top image: © Vienna Art Week

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