サイボーグアーティスト「Moon Ribas」を知っているか?【vol.1】

そう遠くない将来、私たちの誰もがサイボーグになっているかもしれません——。

ムーン・リバス(Moon Ribas)を知っていますか?

バルセロナに拠点を置くアーティストで、「Cyborg Foundation」の共同創業者でもある彼女は、世界初のサイボーグ女性として知られている人物。地球の動きと揺れをリアルタイムで感じられるよう、2013年に足首にセンサーを埋め込み、世界中の注目を集めました。

全3回にわたる今回の企画では、彼女へのインタビューを通して、人類の可能性、そして我々の未来を探っていきたいと思います。

©Michael Sharkey

──「ムーン・リバス」という名前にはどういう意味が?

 

もともとは、Moonではなく私の苗字「Montserrat(モンツェラット)」でした。モンツェラットはスペイン・カタルーニャ地方の聖なる山で、頂上に丸い石があることから現地の人々にとってシンボル的な存在。海外に住むようになってから、英語のMoonの響きがモンツェラットの始まりの音に似ていることから、Moonに変えたんです。

 

──アートを始めたきっかけは?

 

私は舞台美術家の父、女優の母、劇場運営者の祖母という芸術一家で育ちました。家にはよくお客さんがチケットを受け取りにきたり、電話の対応をしたりと幼少期から舞台芸術の世界に触れていました。

しかし、この劇場では古典劇が中心だったことから、より自分や時代に合った表現方法を模索したくなった。それが現在のアート活動につながっています。

 

──アーティストとして、どんな使命や目的を持っているのでしょうか?

 

私のアーティストとしての使命は、私たちが生きている世界をより深く、あるいは別の視点から理解できるようにすることです。そのための一つの方法が自然の要素を芸術的な文脈で表現すること。

同時に、目標として「自由」を掲げています。創造したり、踊ったり、アイデアを発信するときに自由を感じます。自由を創造し、自由を謳歌することが私のアートの原動力になっているのです。

 

──壮大なミッションですね。これまでのキャリアで重要だったと思うプロジェクトについて教えてください。

 

3つあります。まず1つ目は、自身をサイボーグ化し世界的に認知されるきっかけとなった「The Seismic Sense」です。

体内に埋め込んだセンサーは、オンラインで地震計に接続され、地球の地震活動をリアルタイムで感知することができる。24時間どんな場所でもセンサーが振動し、常に地球の動きを体で感じられるプロジェクトです。

2つ目は、この埋め込んだセンサーを使った「Waiting for Earthquakes」という作品。

これは人々の前でおこなうパフォーマンスで、地震が起こるたびに私が動き、地震の強さによって動きが激しくなったり弱くなったりするもの。この作品では、地球が振付師で、私は地球から与えられた動きを解釈するパフォーマーという立場を取っています。

そして3つ目が「fenomeno」。センサーを体から取り除いた後に発表した作品で、舞台芸術とサイボーグとして培った感覚の2つの世界を融合させたものです。

この作品の目的は、自然を舞台のなかに持ち込むことで、パートナーのダンサー、そして第3の要素である氷と一緒に踊ること。作品中には、温度変化という現象が存在し、氷、空間、そしてパフォーマー自身を変容させる過程で、作品がその姿を現すというユニークな表現を試みました。

©Matthew Nierderhauser
©Caterina Angeloni (Gato Productions)

サイボーグと聞くと、非人間的で冷酷なイメージが湧きますが、彼女はサイボーグとなることで自然、地球、そして宇宙とより深くつながれると考えています。

次回はサイボーグとしての彼女の実体験や、彼女が思い描く我々の未来について迫りたいと思います。

次回は4月30日19:00公開!

Top image: © Carlos Montilla, Set director Rebeca Sueiro

関連する記事

サイボーグアーティスト「Moon Ribas」へインタビュー【vol.2】
サイボーグアーティスト「Moon Ribas」へインタビュー【vol.3】
サンフランシスコ市長London Breed氏は、経済復興政策の一環としてアーティストに対する「ベーシックインカム」プログラムの開始を発表した。
2020年にサブスク解禁「してほしい」有名アーティストをまとめてみました!
大手食品会社「Mars(マース)」がチョコボール「Maltesers(モルティーザーズ)」のおいしさを最大限に引き出すために持ちかけた、ケーキ対決「Bak...
これからも進化していくバーチャルダンスパーティー「We Come In Peace」。ニューヨークを拠点にするアーティストTin NguyenさんとEdw...
「2019年にサブスク解禁した有名アーティスト」を整理してみました。
アメリカを代表する美術館である「ロサンゼルス現代美術館(MOCA)」が、親交のあるアーティスト9人がデザインしたアートマスクを発売する。ヴァージル・アブロ...
音楽ストリーミングサービス「Spotify」が世界各国で話題となっている新人アーティストを紹介するプログラム「RADAR」をローンチ。今月は36人の新人ア...
米「コロンビアビジネススクール」の研究者らは「人は自分の性格と似たアーティストの音楽を好む」ことを発見した。
チャームやブレスレットが幅広い世代に大人気の「Pandora」は、5月4日、今後一切採掘されたダイヤモンドを使用しないと宣言。同時に人工ダイヤモンドのみで...
来年4月22日(木)より、70代以上の女性アーティストに注目した「アナザーエナジー展」が東京・六本木の「森美術館」で開催される。
メイクアップアーティストのMay Sumさんは、商売道具のコスメをメイク道具として使うだけではなく、口紅そのものを彫り鑑賞物に生まれ変わらせてしまったのです。
研修や会議で「ん?今、なんて言った?」というような言葉が出てくることはありませんか?そんな疑問を解決すべく、知ってしまったら使いたくなるカタカナ語を紹介。...
古代から見上げる人々の心を癒やし、宇宙への夢と憧れを象徴する存在であった月。イギリスのアーティストLuke Jerramさんは、NASAが撮影した画像を元...
Spotifyで公開された一曲が話題に。そのアーティスト名には意味不明の文字が並び、曲名も「҉.·.·* ́ ̈.·*:・✧๑ඕั ҉」」と言語化すら不可...
世界的アーティストKAWSが日本初となる大型展覧会を7月に開催する。「ディオール」から「ユニクロ」まで幅広いファッションブランドとコラボするなど、時代を代...
世の中には、様々なアーティストが存在するが、ペーパーカッティング・アーティストのPippa Dyrlagaもその1人。彼女が使うツールは、紙とペンカッター...
フランス人アーティストが改造し、誕生したキッチンカー。フライドポテトが作れるキッチンが設置されたものです。知らずに目の前で「パカッ」とされたら驚いてしまい...
ドイツ・ベルリンで、毎月最終土曜日に開催されるテクノイベント「STAUB」。事前予約サービスを廃止していて、みんなが同じ料金を払うのがお決まりです。
「旅行者」と「ローカルアーティスト」をつなぎ、ディープでユニークなアクティビティを企画・提供する旅行会社が人気を集めている。そのアクティビティの内容とは....
いつでもどこでもスマホがあれば、AR技術でアーティストのライブが見れるアプリの紹介。広告なしでダウンロードしたあとすぐに聞ける。新しいアーティストとファン...
「ルイ・ヴィトン」が、アーティストとの創業以来のコラボレーションを振り返る展覧会「LOUIS VUITTON &」を、3月19日〜5月16日、東京・原宿に...
メルセデス・ベンツがモーターショーに向けて用意したこのトラック。痛車のようなデコトラのようなアーティスティックなトラックが、アメリカ人アーティストAlek...
子供の優しい気遣いのようなユーモラスなこの作品は、ドイツ人アーティストJan Vormannさんによるプロジェクト。ヨーロッパ、アジア、アメリカなど世界4...
11月22日、世界的アーティスト「草間彌生」の半生を追ったドキュメンタリー映画「草間彌生∞INFINITY」が公開となる。
デジタルアートを駆使して、摩訶不思議な街を生み出しいるのは、バルセロナを拠点に活躍するアーティストのVictor Enrich。映画「インセプション」ばり...
ロボットアーティスト「Ai-Da」は、ちゃんと体が存在するヒューマノイドロボット。目に当たる部分に仕込まれたカメラが対象物を捉え、それを描くことが可能。目...
「アーティストが住みついたビル」というコンセプトの新しいスポットが、2017年9月16日にオープンした。場所は、日本橋。一棟ビル丸ごと使ってアート・音楽・...
マレーシア人のSaraswatiさんは、メイクをする時、普段から身に着けているヒジャブもフル活用するメイクアップアーティスト。折ったり結んだりして、自由自...