エッフェル塔が緑にライトアップ きっかけは「たった1人のアーティスト」だった・・・
COP21。地球環境の行く末を世界のリーダーたちが、一同に介して議論していた同じ時、パリを象徴するモニュメントから、世界へ向けて発信されたもうひとつのプロジェクトがありました。
「1 Heart 1 Tree」ーー。エッフェル塔を緑一色に染めあげた、プロジェクションマッピング。そこに投影されたのは、ひとりの女性アーティストの呼びかけに賛同した、多くの人々の、心音に共鳴する“光の木”。
スマホで育てた“光の木”
エッフェル塔に投影
アートとリアルを融合させたこのプロジェクト。「1 Heart 1 Tree」は、フランス人アーティスト Naziha Mestaouiさんが、国際会議開催に先駆け「Kickstarter」で資金調達を開始したところから始まります。
プロジェクションマッピングを使って、エッフェル塔に植物を生やす。それだけならば、誰にでも思いつきそうなもの。でも、世界中の多くの人々がMestaouiさんに共感し、賛同した理由は、彼女の奇抜なアイデアにありました。
すでに、目標額を大きく上回る資金調達を達成した、このプロジェクト。彼女から、専用アプリを介して資金提供者たちに配られたのは、上の写真のスマホ画面内に映る“光の種”でした。
自分の心音に合わせて成長
Mestaouiさんから配られた、この“光の種”。アプリを起動すると、受け取った人たちの心音に合わせて徐々に大きく成長していく設計になっていました。そう、プロジェクト名の“1Heart”を担っているのは、自分たちの鼓動そのもの。
こうして成長させたそれぞれの“光の木”を、COP21開催期中の5日間(11月29日〜12月3日)、人々は名前入りで自分の分身をエッフェル塔に投影。鉄塔が緑に染まったのは、こうした経緯があったのです。
ですが、Mestaouiさんのプロジェクトは、ここからが本番。人々の心音に共鳴して大きく育った“光の木”が、ここから“希望の木”として、さらなる成長を見せるのです。
世界5大陸
光の種から“希望の木”へ
じつは、“光の種”を育てるのは、バーチャルの世界だけではありません。オーストラリア、ブラジル、セネガル、インド、ペルー、コートジボワール、そしてフランス。5大陸7カ国で“光の種”から1本の苗木が、現実に世界各地で展開されている植林活動と連動して行われる仕組み。ここにMestaouiさんの「1 Heart 1 Tree」の本当の意味があるのです。
たとえば、インド・アッサム地方の砂漠地帯で、人生の35年間を植林に捧げる自然活動家Jadav Payeng氏の元へ。また、先祖代々アマゾンの奥地で、自然とともに暮らしてきた先住民のリーダーBenki Piyako氏の植林活動へと、今後提供されていく予定だそう。
「1 Heart 1 Tree」プロジェクトに参加し、光の種をエッフェル塔に投影した人々の“希望の木”が、世界各地で実際の木として生まれ変わる。素敵なプロジェクトの第二幕が楽しみですね。
点灯式の会場に姿を表したパン・ギムン国連事務総長は、こうコメントを残しています。
「この一人ひとりの“心の木”で緑豊かになったエッフェル塔のように、温暖化対策が根をはり、大きく育てていかなければいけません」
Reference : Kickstarter
Licensed material used with permission by 1 Heart 1 Tree Naziha Mestaoui