「肋骨がない」「浮き袋のなかは脂肪」「寿命100年」......なんなんだ、この魚
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
「シーラカンス」が捕獲された日
現在、地球上にどれほどの種類の動植物が生息しているか知っていますか?
「国連環境計画(UNEP)」の発表によると、その数、およそ870万種。ただし、これはあくまでも“推定値”です。
「ん?推定値ってどういうこと?」
じつは、地球に存在すると推測される生物のなんと9割は発見されていないのだとか。
そんな底知れない未知なる生き物の世界で、多くの研究者たちが“20世紀の生物学史上、最大の発見”と認めるトピックがあります。
それが、84年前(1938年)の今日12月22日、南アフリカはイーストロンドンのチャルムナ川沖での「シーラカンスの捕獲」です。
“魚の時代"と呼ばれる古世代デボン紀(約4億1600万年前〜約3億9700万年前)に生き、その後に訪れる恐竜時代の終わり(大量絶滅期/K-Pg境界)とともに絶滅したとされていたシーラカンス。
そんな“生きた化石”が、現代にも命を紡いでいたというのだから、生物学の歴史が変わる大きな出来事だったことは想像に難くないでしょう。
その後、現在に至るまで捕獲されたシーラカンスの数、300個体以上(※)。
「卵を体内で孵化させる卵胎生であること」「骨格のほとんどが軟骨であり、肋骨が存在しないこと」「浮き袋の内部は脂肪で満たされていること」「寿命が100年ほどであること」など、研究によっていくつかの特徴が明らかになってはいますが、まだまだ未知なる部分も多いミステリアスな存在です。
話は変わりますが、「世界自然保護基金(WWF)」が2020年9月に発表した「Living Planet Report:生きている地球レポート」によると、地球の生物多様性は、ここ50年間で68%もの割合を喪失しているといいいます。
4億年前から、種の存続さえ危うい現代に至るまで生き続けてきたシーラカンス。
これ以上、彼らが昔話ができる相手を失いませんように......。
※300個体以上捕獲されているのはアフリカシーラカンスであり、インドネシアシーラカンスの捕獲はわずか数個体のみ。