11年前、震災当日の夜。さまよう東京の人々を導いた灯り
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
「東京タワー」が竣工した日
今から11年前にあたる、2011年の3月11日。日本は大混乱のなかにありました。
そう、現在もその爪痕を強く残す、東日本大震災が発生した日です。
首都・東京でも多くの人々が不安や恐怖......いや、それすら感じられないほどの精神状態のなか、JRや地下鉄といった主要な交通網が麻痺した夜の街を延々と歩き、それぞれの帰るべき場所を目指しました。
そんななか、まるで暗い夜の海を走る船を誘導する灯台のように、普段はおこなわない「終夜点灯」によって明かりを灯し続けた「東京タワー」。
今日12月23日は、そんな東京タワー、正式名称「日本電波塔」が竣工した日です。
64年前の1958年に、この東京のシンボルは完成しました。高さは地上333m。竣工当時、日本一の高さを誇ったタワーは、その名称の通り、主に東京を中心とした関東近県エリア(北は水戸、東は銚子、南は沼津、西は甲府)にテレビの電波を送るために建設されました。
2013年、地上デジタル放送への移行にともない、その役目の多くを「東京スカイツリー」(高さ地上634m)に譲りながらも(※)、その歴史や佇まいから、いまだ東京を代表するランドマークとして多くの人に親しまれる存在です。
日本が、そして東京がくじけそうな瞬間にも、そのどこか暖かさを感じさせる灯りで街と人を勇気づけてくれたように、今、この瞬間も、東京タワーはこの国を見守り続けてくれているのです。
※現在も一部のラジオ局(TOKYO FM、InterFM897)やインターネット放送などでは電波塔として利用されている。