「シャリアピンステーキ」のシャリアピンは「玉ねぎソース」のことじゃない!
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
「シャリアピンステーキ」が生まれるきっかけとなる出来事が起きた日
シンプルにソルト&ペッパーで焼き上げたステーキはもちろんおいしいですが、少し手間暇がかけられた、どことなく欧風な装いの「シャリアピンステーキ」もオツなもの。
みじん切りの玉ねぎに牛肉を漬け込み、分解酵素の働きにより肉を柔らかく、そして、肉汁を含んだ玉ねぎをソースに使うことによって、旨みたっぷりの味わいを実現する“マリネステーキ”の一種・シャリアピンステーキ。
今日1月27日は、そんなシャリアピンステーキが誕生するきっかけとなる出来事が起きた日です。
ちなみに“シャリアピン”が何を意味する言葉かわかりますか?
「ヨーロッパのどこかの国の言語で“玉ねぎ”とか?」
「発祥の“土地”の名前?」
「“柔らかい”では?」......いいえ、すべて不正解です。
答えは「人名」です。
「あ、開発したシェフの名前だ!」......残念、それも違います。
正解は「フョードル・イワノヴィッチ・シャリアピン」。その表現力の高さから“歌う俳優”とも呼ばれたロシアのオペラ歌手です。
87年前(1936年)の今日、極東の国・ロシアから公演のために日本を訪れたシャリアピンは、当時の日本を代表する高級客亭「帝国ホテル」に宿泊していました。が、世界的歌手はある不安を抱えていたといいます。
「歯、超痛い。でも、肉、超食べたい」と──。
そんなシャリアピンの願いを叶えるため、帝国ホテルのレストラン「ニューグリル」の当時の料理長・筒井福夫氏が、日本食「すき焼き」の作り方にヒントを得て考案したのが、玉ねぎソースと柔らかな噛みごたえが特徴のシャリアピンステーキなのだとか。
今ではさまざまなアレンジメニューが登場し、「玉ねぎと赤ワインをベースにしたソース=シャリアピン」という認識が広まっていますが、そもそもが歯を痛めた有名歌手のために考えられたものだったとは......料理に歴史あり、ですね。