「プラスチックを食べる微生物」世界中で増殖中

世界中で脱プラスチックが叫ばれて久しいが、それでもなお年間3億7000万トン近くのプラスチックが生産され、2040年までに生産量は2倍になるとさえ予想されている。

過去70年ほどのあいだに200倍近く増加したプラスチック。そのゴミ処理問題は世界が頭を抱える喫緊の課題であることは言うまでもない。

そんななか、スウェーデンのチャルマース工科大学より、光明の差す研究結果が発表された。

プラスチックを分解する能力をもつ微生物酵素の存在だ。

学術誌「mBIO」に掲載祭れた内容によると、世界中の数百の場所(海や土壌)から採取した環境DNAのサンプルを分析しデータを照らし合わせた結果、プラスチック分解能力を持つ微生物酵素が多く存在している地域ほど、各国が公表している海洋プラスチック廃棄汚染のデータが軒並み悪いことが判明。

つまりは、汚染が進んだ地域ほど分解酵素が多く存在するということだ。

「微生物のプラスチック分解能力はプラスチック汚染の測定値と密接な相関関係があることを裏付ける結果となりました」と、同大学のシステム生物学准教授Aleksej Zelezniak氏は言う。

なんでも、10種のプラスチックを分解できる可能性のある酵素が、すでに3万種以上も発見されているらしい。

プラスチックによる環境破壊が進むにつれ、微生物たちもこれらの化合物に対応するための“進化”を続けていたとは、なんとも皮肉な話でもある。

とはいえ、もはや彼らの能力に頼ってでも現状を打破していくほかない。プラスチックが自然界で分解されるメカニズムをどう活用できるか。これからの研究に注目していきたい。

海洋ゴミで失う未来がないように。未来への希望もまた、海のなかから。

Top image: © Teerasak Ladnongkhun/Shutterstock.com
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。