超高層ビル「建設競争」がなければ、摩天楼都市ニューヨークは存在しなかった。
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
エンパイア・ステート・ビルディングが完成
地上102階建て、頂上までの高さ443.2メートル。ニューヨークのスカイラインを形づくる摩天楼の象徴であり、世界でもっとも壮大なアール・デコ建築。それが、「エンパイア・ステート・ビルディング(Empire State Building)」です。
92年前の5月1日、マンハッタン5番街に当時世界最高のビルが完成。時の米大統領ハーバート・フーヴァーがワシントンD.C.より遠隔ボタンを押し、天まで届くビルのライトを点灯。
最新技術の結晶、そして現代カルチャーの発信地として、その存在感を世界へと誇示するのには十分すぎるインパクトがあったはずです。
さて、そのESBですが、1900年代初頭から始まったニューヨークでの高層ビル建設競争のなかで、“世界一の座”を勝ち取るべく建設が進められていたのは有名な話。
1908年、当時世界一の高さを誇った「シンガー・ビルディング」にはじまり、1913年には「ウールワース・ビルディング」がその記録を塗り替えます。
さらに、ESB完成1年前となる1930年、当時世界一となる77階建て282メートルの「クライスラービル」が完成するも、同年こんどは「40 ウォール・ストリート」が283メートルで世界記録を更新。
こうした側から見れば不毛な争いにも思えてしまう高層ビル建設競争の果てに誕生したのが、ESBだったというわけ。
ただ、「世界一の座につく」そのことばかりに目がいっていたのでしょうか。急ピッチで進んだ建設でしたが、ときはまさに世界大恐慌の真っ只中。
そのため、1940年代に入るまで、賃貸オフィスとして設けたスペースの多くが空室のままだったんだとか。そのため“空っぽのビル(Empty State Building)”と揶揄されていたそうですよ。
そうそう、ESBはライティングのリクエストができるって知ってますか?しかも申請さえ通れば443.2メートルを好きなようにライトアップ。ただし、誕生日や結婚記念日といった個人的なイベントでの使用は不可だそうです。