「人口爆発」という、もうひとつの危機。

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

世界人口デー

1987年7月11日、内戦により分離解体が進む以前の旧ユーゴスラビアで、ひとりの男児が産まれました。名前はマテイ・ガスパル。

この子がいま、どこでどんな生活を送っているかはわかりません。ただ、彼の名が世界へと広く知られるようになったのには、ある理由がありました。

それは、彼が国連人口基金(UNFPA)によって、「50億人目の赤ちゃん」であると正式に認定された子どもだったから──。

「マテイちゃんと同じ世代の人々が平和に暮らせるように」

当時の国連事務総長ハビエル・ペレス・デ・クエヤルはそう祝辞を贈り、UNFPAの提案を受け世界人口が50億人を突破したことを記念し、7月11日を「世界人口デー」とする動きがはじまります。それから3年後の1990年、国連総会において正式に国際デーのひとつとして制定されました。

マテイ誕生から、24年後の2011年10月末、世界の人口はついに70億人を超えました。最新のUNFPAの白書によると、2022年の世界人口79億5400万人。昨年に比べ7900万人増加しているそうです。

増え続ける世界の総人口。2050年には93億人、そして今世紀末までには「100億人時代」が到来するとの予測もあります。

どこかの時代までは、喜ばしいはずだった人口増加。それが、現在私たちが直面しているのは、温暖化や環境破壊による資源枯渇、食糧不足や水不足、さらには世界規模での高齢化、そして経済格差からくる貧困層の拡大といった暗い影……。

無尽蔵に増え続ける人間の数が、結果として私たち一人ひとりの首を少しずつ締め続けているのは、もはや自明の理。

ミクロの視点で見れば祝福すべきはずの新しい命の誕生。それがマクロとなると、人口問題という言葉で語られてしまう。この矛盾はいったいなんなのでしょう。

1秒あたり5人というスピードで増加しているとも言われる世界の人口。来るべき100億人時代に向けて、いかにして自然環境のバランスを維持し、誰ひとり取り残すことなく未来を創造することができるのか。

いま、人類はとてつもなく大きな課題に直面しているということだけは、この地球に生きる一人として心に留めておきたいと思います。

Top image: © iStock.com/Dmytro Varavin
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。