マンションの部屋は、「自動販売機」で買う時代がやってくる?
現時点ではあくまでも構想段階だが、将来的にはとんでもない「高層マンション」が登場する可能性がある。そう聞くと、多くの人は「高さ」にフォーカスしたものだと思うかもしれない。
でも、マレーシアの建築家Haseef Rafieiさんが提案するマンションの面白さは、高さもさることながら、そのユニークすぎるコンセプトにある。そして、そのアイデアのもとが日本文化にあることにも着目したい。
このたび、彼がインスパイアされた3つの要素がこれだ。
01.
自動販売機のように
好みに合わせて部屋を買う
そもそもこの計画は、高層マンションの「枠」だけを建てておき、それぞれの部屋にあたるユニットを自分でカスタマイズして購入するというもの。まずはこのポイントを頭に入れておいてほしい。
その「部屋の選び方」が上のようなイメージ。Haseefさんは日本の自動販売機に影響されて、価格・部屋タイプ・家具などを選べ、好みに合わせてオーダーできるような仕組みを計画中らしい。
ちなみに、購入後は3Dプリンターがすぐに部屋を作ってくれるようなシステムを目指している。
02.
1960年代の建築運動を参考
様々なユニットから構成されるこの集合住宅は、1960年代の日本発の建築ムーブメント「メタボリズム(新陳代謝)」に影響されているらしい。これは、都市環境によって生き物のように次々と姿を変える建築のこと。代表作は、ブロック式の部屋が(技術的には)交換可能な設計になっている中銀カプセルタワービル(以下)。
だからこそ、ユニットを一つひとつを組み合わせていくスタイルになったのかもしれない。
03.
「わび・さび」を意識した
ミニマルな建築
このデザインは、日本の美意識でもある「わび・さび」を参考にしているらしい。確かに、必要最低限。ミニマルな印象を受ける。
Haseefさんはこう言う。
「マンションが満室になったら、どうするのか?という質問をよく受ける。だけど、これは常に建築中というイメージを持ってほしい。つまり、スペースがなくなったら上に積み重ねる。『わび・さび』の考えを借りて言うならば、マンションは流動的に変化して、適応していく”不完全なもの”であり、そこに美しさを見出してほしい」
ちなみに、完成予想イメージには銀座をチョイス。とことん日本から影響を受けている本計画、果たして実現するのだろうか。